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ソフトバンク、LINEを実質買収で広がる信用不安…巨額有利子負債抱え“自転車操業”

文=編集部
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 11月13日付ロイター通信の報道によると、統合計画にはSBGの孫氏とネイバーのハン・ソンスクCEO(最高経営責任者)が関与した可能性があるという。孫氏には出資した中国のネット通販最大手、アリババ集団という成功体験がある。同社の事業モデルは、スマホ決済「アリペイ」を入り口に、利用者がネット通販や金融サービス、各種の生活サービスに導かれる仕組みになっている。SBGはアリババの事業モデルを模倣する。Pay Payを入り口にネット通販や金融サービスに誘導する。そのため、Pay PayをSBGの直轄事業にし、通信子会社SBがヤフーを子会社にした。

ウィーワークに2兆円注ぎ込む

「今回の決算、ボロボロだ。真っ赤っかの大赤字。まさに大嵐という状況だ」

 孫氏は11月6日、SBGの19年9月期中間決算で155億円の営業赤字(前年同期は1兆4207億円の黒字)に転落したことを謝罪した。中間決算としては15年ぶりの営業赤字である。投資先の米シェアオフィス大手、ウィーワークの運営会社ウィーカンパニーが経営不振に陥り、ファンド事業で約5700億円の損失を計上した。

 ウィーカンパニーにはSBG全体で、すでに約1兆円を投じていた。ウィーの乱脈経営が問題視され、上場計画が頓挫。上場させて持ち株を売却して利益を得る算段が狂った。引くに引けなくなり、SBGは追加で約1兆円を直接、投じる羽目に陥った。累計2兆円を投じるウィーの再建が難航すれば損失は、さらに膨らむ。市場では「倒産説」が流れるなど、ウィーの前途は厳しい。

「『ソフトバンクはもう倒産するのではないか』という報道があった。市場がそのように見ているのなら、ある意味では正しいと思う」

 孫氏は、ウィーの投資に失敗し、信用不安が拡大していることを認めた。海外投資でつまずき逆風が吹くなかで表面化したのが、ZHDとLINEの経営統合。インターネット上で大規模なサービスを提供する巨大IT企業化を狙う。「孫さんの辞書には『拡大』の2文字しか載っていない。現在のSBGの経営はまるで自転車操業の状態にみえる」(業界筋)。前出ロイター記事は<「ウィーワークス」への巨額出資で大きな損失を被った孫氏だが、風向きが「追い風」に変わるかもしれない>と報じたが、果たしてそうなるのだろうか。

LINEの時価総額は1兆2000億円超

 LINEの株価は経営統合を好感し、11月14日の東京市場でストップ高水準の買い気配で推移し、大引けに5290円(705円高)のストップ高で比例配分された。株式の時価総額は1兆2746億円となった。ニューヨーク証券取引所にもADRを上場しているが25%上昇した。

 ZHDとLINEの連結売上高は単純合計で楽天を抜き、ネットサービス企業としては国内最大になる。だが、LINE買収に伴う投資負担が、新たにSBGとSBにのしかかる。SBGの有利子負債は18兆88億円(2019年9月末現在)。LINEは1851億円(同)である。

 経営統合は株式交換方式で行われる模様で、ロイター通信(同)によると<ソフトバンクは事実上、保有するZHD株の半分とLINE株式36%を交換することになる>。一方、LINEは巨額な先行投資を継続するため、SBの出資を受け入れ、経営体力を強化する。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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