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ウーバーイーツ、“食品大量廃棄”が起きていた…配達員への一方的な報酬引き下げが原因

文=編集部
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「Getty Images」より

 外食宅配事業を行うウーバーイーツの構造的な闇がまた明らかになりつつある。事のはじまりはウーバーイーツを日本で運営する「ウーバージャパン」が昨年11月、東京都内の配達員の基本報酬を引き下げたことだ。それに伴い配達員は減少。残った配達員もより稼げる地域に移動した。一方で、ウーバー本部が加盟店を都心以外にも拡大させ続けていることもあって、受注飲食店と配達員との間のマッチングが成立せず、商品の大量廃棄が生じているというのだ。当サイトでは、複数の配達員やファーストフードチェーン店の関係者から証言を入手した。注文者、配達員、飲食店すべてに不利益となる現行の同社のシステムの実態を探った。

配達報酬の一方的な引き下げがトリガー

 ウーバージャパンは11月29日、東京都内の配達員に対し、基本報酬を引き下げた。配達員の報酬は、配達距離報酬と荷物の受け取り料金などの「基本報酬」とウーバー本部が指定する特定の地域や時間に配達などをすることで得られる「ボーナス報酬」の2つで構成されている。今回の報酬引き下げにより、1キロ当たりの距離報酬は150円から60円に引き下げられたほか、受け取り報酬も約12%カットされた。

 こうしたウーバージャパンの一方的な方針に対して、一部の配達員でつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は事故や怪我の保障が充分なのかの調査依頼、一方的なアカウント停止に対しての協議、距離報酬の計算基準の説明などを求めて団体交渉を要求。会社側は「配達員はオランダに所在するウーバーポルティエBV社と契約をしており労働組合法上の労働者に該当しない」と拒否している。

忌避される「熟成案件」→廃棄へ

 商品廃棄の問題は、こうしたウーバージャパンの不可解な労務管理の中で、新たに明らかになった。ウーバーの配達員は次のように現在の問題を指摘する。

「お客様から注文が入ったあと結果的に正式な配達パートナーが割り当てられず時間が経過してしまった配達案件のことを、配達員の間では『熟成案件』と言っています。

 例えば注文のあったレストランの近くで配達員がいなくて、マッチングできなかったり、配達拒否やキャンセルでたらいまわしになったりして、出来上がりから約1時間経過したような商品の配達がそれにあたります。そうした商品はどんなに迅速に届けても、お客様から『遅い!』と批判され、BAD評価になってしまいます。そのため、配達員の間では忌避されています」

 どうしてこのようなことが起きてしまうのか。それは「距離報酬」の引き下げが一つの原因になっているようだ。別の配達員は次のように話す。

「今回の報酬引き下げで配達員の数自体が減っています。実際に距離報酬の引き下げにより、遠距離配達は時間的にも割に合わないことになりました。つまり比較的に短距離で数多くの配達をすることで利益を上げるビジネスモデルに変わってしまったことが大きいと思います。

 どんなにほかに競争相手がいなくても、マッチングできていない遠いお店に商品をピックアップしにいくのは、効率的にも、配達員の評価の観点からもリスクしかないのです。しかもお客様のBAD評価が何度も重なれば、我々の受注にも影響しますし、ウーバージャパンからアカウントを停止される可能性もあります。専業で働いている人間にとって、それは失業を意味します」

「廃棄しても損はないので受け続ける」

 東京23区外にある大手ファーストフードチェーン店の店員は小声で次のように話す。

「ちょうどウーバーの報酬改定以降の12月上旬ごろから、配達員とのマッチングが成立しない事例が相次ぎました。クリスマスも近く注文が殺到していたのですが、ウーバー受け渡し窓口に商品が山積みになっていって、多い時には、10~20袋くらい廃棄になりました。繁忙期ということもあって、ウーバーさんの対応は直接来店するお客様に比べて後回しになりがちで、最終的に受け付けしなくなりました」

 別のハンバーガーチェーン店の店員は次のように指摘する。

「ウーバーの注文は深夜が多いです。そんな時間に、ウーバーのリュックをしょって配達して回っている人なんて見たことないでしょう? 案の定、マッチングはしません。でも、店としてはウーバーから補填を受けられるし、基本的に損はしていないので受け続けています」

 マッチングが成立せず、食品が廃棄された場合、飲食店と注文者にはウーバージャパンが注文料金を補填をする。

 ウーバーイーツユニオンは一連の問題の事実を認めたうえで、次のように語る。

「一見誰も損をしていないようですが、お客は食べたい時に食べられない。熟成案件でもまじめに配達した配達員はBAD評価を付けられる。店も大量の食品ロスが生まれる。問題ばかりです。ビジネスモデルとしても、企業の社会的な責任からも大きな問題があると思います」

(文=編集部)

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