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「加谷珪一の知っとくエコノミー論」

中国人観光客が大挙、日本が「物価も賃金も安い国」になった現実とは

文=加谷珪一/経済評論家
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中国・国慶節の大型連休 日本にも大勢の観光(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 日本の相対的な経済力の低下によって、日本が世界から見て「安い国」になっているという話は、国内でも徐々に認知されるようになってきた。モノやサービスの値段が安いことは、外国人観光客を呼び寄せる材料となるが、それはウラを返せば、国内の賃金が低く推移していることを意味している。人口減少によって国内経済の縮小が予想されるなか、私たちはもっと内外価格差について敏感になっておく必要があるだろう。

同じダイソーの商品が、外国では150円から200円で売られている

 政府が積極的に受け入れ拡大策を進めたこともあり、日本には年間3000万人もの外国人観光客がやってくるようになった。彼らは日本文化楽しむためや、日本料理を食べに日本に来ているのだろうか。もちろん、人によって来日目的はさまざまなので一概には言えないが、訪日客の7割を占める中国、韓国、台湾、香港からの観光客に限っていえば、最大の目的は買い物である。

 観光庁の調査によると、中国人は日本を訪問するにあたって、1人あたり約20万円の消費を行っているが、このうち買い物代が約半分を占めており宿泊費や飲食代を大きく上回る。韓国人は買い物の比率が低いという特長があるが、中華圏の人たちはとにかく買い物である。

 彼らがこぞって日本で買い物をするのは、日本の物価が極めて安いからである。特に中国は近年、物価上昇が著しく、なかでも沿岸部の大都市では何もかもが高いという状況だ。

 日本では多くの人が100円均一のお店を利用しているが、業界大手のダイソーは積極的に海外進出しており、中国などアジア地域にも多くの店舗を構えている。店舗によって事情は異なるが、ダイソーの場合、中国の店舗ではたいてい10元均一で商品を販売している。1元=15円とすると150円均一ということになる。

 ダイソーは米国にも多数、店舗を出しているが、米国のなかでも物価が高いニューヨークは1.9ドル均一、他の都市では1.5ドル均一になっていることが多い。1ドル=110円と仮定すると、165円から209円の範囲で商品を販売していることになる。ダイソーの海外店舗はどの地域でも概ね、日本の1.5倍から2倍の価格になっているのが実状だ。

 もちろん各国で商品構成は異なっているが、日本国内で販売しているのと同じ商品もあり、基本的には同一、もしくはそれに近い商品を売っていると思ってよい。そうなると、100円という低価格で販売しているのは日本だけという話になってしまう。

 海外では同じモノが1.5倍から2倍の値段になっているということは、日本にやってきた外国人が日本国内の店舗で買い物をすると、何もかもが安いという感覚になる。実際、中国人観光客の多くは、日本の商品の安さに歓声を上げており、この安さが買い物への支出を支えている。

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