日常よく目にする食品添加物、合成乳化剤には化学的に異なる何種類もの物質があります。法令に含有量の規制はなく、たとえば添加物メーカーの工場で製造されたグリセリン脂肪酸エステルの30%が不純物であってもよいのです。
【使用されている食品の例】
マーガリン、コーヒークリーム、生クリーム、豆腐、ケーキ類、パン、アイスクリーム、チョコレート、めん類、チューインガム、その他デンプンを含む食品
ショ糖脂肪酸エステル
ショ糖とは砂糖のことです。ショ糖に結合する脂肪酸の種類、結合する脂肪酸は何十種類もあります。混合物が食品に使用されています。
【使用されている食品の例】
ケーキ類、パン、アイスクリーム、コーヒークリーム、マーガリン、ファットスプレッド(食パンなどに塗って食べる)、濁りのある飲料水、その他デンプンを含む食品
プロピレングリコール脂肪酸エステル
モノエステル(脂肪酸が一つ結合したもの)が主で、結合する脂肪酸の種類により多くの種類があります。
【使用されている食品の例】
ケーキ類、加工油脂(マーガリンなどの合成油脂)
リン酸塩類その他
リン酸水素二アンモニウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸ナトリウム、グルコン酸カリウムなど23種類あります。リン酸塩などの無機塩類が乳化剤だというのは、嘘ではないかと思われるかもしれませんが、これらはチーズの乳化剤として使用されています。
加工デンプン(合成デンプン)
オクテニルコハク酸ナトリウムが該当します。
【使用されている食品の例】
ドレッシング類、粉末油脂など
表示
乳化剤が使用されている食品には、どの種類かは表示されておらず、単に「乳化剤」とだけ表示されています。例えば5種類の乳化剤が使用されていても、単に「乳化剤」とだけ表示されています。不純物がたくさん含まれているソルビタン脂肪酸エステルが添加されていても、消費者にはわかりません。
使用基準
使用基準はありません。したがってあらゆる食品に添加できます。添加量の規制もなく、さまざまな乳化剤を混ぜて使用している場合がほとんどです。
乳化剤には次のような問題があります。
(1)各々の乳化剤が単一な物質でない(無機塩類は除く)
安全性試験の結果の信頼性について問題が生じる。
(2)不純物についての法的規制がない(無機塩類は除く)
純度についての規制がない。どのような不純物がどれくらい含まれているのか、消費者はわからない。実際に添加されている乳化剤は、さまざまな物質の混合物である
「乳化剤」という表示がある食品は要注意です。昨年9月に食品業界の深い闇に切り込んだ企業小説『白い濁流』を上梓しました。食品添加物、食品メーカーでの勤務経験がなければ書けない内容となっていますが、皆さんは“白い濁流”のなかで生活しているのです。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)