新型肺炎、ダチョウ抗体でウイルス不活性化か…活用したマスクに注目、中国政府も大量発注の画像1
ダチョウ抗体マスク

 中国湖北省の衛生健康委員会が2月14日、新型コロナウイルス感染症例が13日に5090人増えて、中国全土で6万3000人を超えたと発表した。2日で一気に2万人も増加したことになる。新型コロナウイルスによる死亡者も増えて、合計1380人に達した。

 感染者が急に増加したのは、これまでのPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)に加え、新たにCT画像により肺炎が確認された症例を加えたためだ。しかし、これまではCT画像で肺炎が確認されても、時間のかかるPCR法の追加検査を受けなければ陽性と診断されなかった。つまり、従来の感染症例より実際の感染症例はもっと多かった可能性もある。

 唯一の対策はマスクと手洗いだが、マスクは品薄の上、マスク着用による感染防止に関しても意見が分かれる。WHO(世界保健機関)は「マスクだけで感染を防げる保証はない。症状がある人だけがマスクをするように」と、マスクはあくまで症状がある人が着用するのが本来の目的と呼びかけており、マスクの着用目的をめぐっても混乱に拍車がかかる。

 そのマスクで今、俄然注目を集めているのが「ダチョウ抗体マスク」だ。見た目は普通の立体型の不織布マスクなのだが、従来の静電フィルターに加え、「ダチョウ抗体フィルター」が組み込まれているのが特徴だ。開発者で京都府立大学大学院生命環境科学研究科の塚本康浩教授(動物衛生学研究室)に話を聞いた。

「ダチョウはケガの治りも早く、病気で死ぬことが少ない地球最大の鳥類で、驚異的な免疫力と回復力を持っています。抗体をつくる能力も高く、卵も大きいため、ダチョウの卵を使えば抗体を大量に生成することができます。ダチョウがつくり出す抗体は、ウイルスやバクテリアを不活性化する能力が非常に高く、大量生産も可能で熱にも強いのが特徴です。これまで、MERSやインフルエンザ、エボラウイルスなどウイルスを不活性化するマスクのほか、スギやヒノキなどの花粉アレルゲンを不活性化するマスクも開発・製造してきました。

 コロナウイルスは僕の研究テーマのひとつでもありますし、今回、新しいコロナウイルスの遺伝子配列が発表されたことにより、どこが重要なのかがわかりました。コロナウイルスにはSタンパクという突起があるのですが、その突起部分のアミノ酸の配合が遺伝子配列を見ればわかるので、合成ペプチドをつくって、その突起のSタンパクに対する抗体ができれば、新型コロナウイルスが体内に入っても、ヒトの細胞に取り付けないため、感染が成立しなくなるのです」

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京都府立大学大学院生命環境科学研究科の塚本康浩教授

 塚本教授は獣医師で専門は感染症学。2008年に産学連携のベンチャー企業・オーストリッチファーマ株式会社を立ち上げ、4つの牧場でダチョウ500羽を飼育している。社名のオーストリッチはダチョウを意味する。無毒化した病原体をダチョウに打つと、ダチョウの体内で抗体がつくられ、そのダチョウの産んだ卵にも抗体が含まれる。

 ダチョウの卵は鶏より30倍も大きいので、ダチョウの卵黄から一度に高純度の抗体を抽出することができるのだという。このダチョウ抗体をマスクのフィルターに練り込んだ「ダチョウ抗体マスク」は2008年に商品化され、これまでに約8000万枚も売れたヒット商品。今回も、すでに中国政府の関係機関や全国のドラッグストアから約30万枚の注文が舞い込んでいるという。

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