東京株式市場は、新型コロナウイルス感染の世界的拡大により、世界景気の失速に対する警戒感から、業種を問わず売られる展開となっている。日経平均株価は3月19日の安値からもう一段下げ、「二番底」を形成する懸念が高まってきた。東京都が外出自粛を要請しただけではない。自動車や建機など主力の製造業で生産停止が相次ぎ、取り巻く環境は日増しに悪化している。
一方で、中国の習近平国家主席は3月10日、「ウイルスのまん延の勢いは基本的に抑え込んだ」と発言。中国各地で生産活動を再開している。とはいっても、中国関連銘柄はコロナ禍の代表的な銘柄であり、強烈な逆風が吹きつける。
中国で積極的に事業展開を進めている銘柄を選定した日経中国関連株50について、昨年来高値からの下落率を調べた。日用品や自動車、機械が上位に並んだ。
ワースト1は「無印良品」を運営する良品計画。新型コロナウイルスの端緒となった中国では、2月9日に150店が休業したが、3月26日時点では湖北省の武漢市の9店だけに収束した。しかし、欧米への感染拡大で、欧米での休業店は3月26日時点で69店となった。展開する店舗70店舗のほぼ全店に相当する。同日時点の日本国内外の休業店数は、全出店(524店)のうちの約3割となっている。
ワースト7位は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。確かに中国での営業再開は進んでいる。3月17日時点の休業店は湖北省を中心とした約30店で、2月上旬のピーク時のそれ(約370店)の10分の1にまで減った。他方、欧州の休業店数は3月23日時点で56店。欧州の全98店の6割弱まで広がった。
同8位の資生堂はインバウンド(訪日客)の需要減が懸念材料だ。中国事業の拡大と訪日客による日本製化粧品の人気に支えられて業績を伸ばしてきた。ドル箱である高級化粧品は中国人への依存度が高かった。中国政府は新型コロナウイルスの感染防止策として団体旅行を禁止。そのため最大のかき入れ時と見込んでいた春節(旧正月)の中国人の訪日は激減。春節商戦は空振りに終わった。
製造業の生産停止は世界中に広がる
ワースト2位の日産自動車はコロナショックによる工場停止が最も早かった。日産自動車九州は中国製部品の調達が困難になり完成車の生産ラインが一時停止した。中国製部品のサプライチェーンの途絶は解消に向かいつつあるが、今度は需要減が痛手となった。主戦場である米国や中国で需要が落ち込んでいるためだ。栃木工場の稼働を一時的に止めた。スペインでは約3000人を一時解雇。米国では3つの拠点を休止した。
同3位の工作機械大手のオークマは中国で春節明けに日本人従業員が戻れず、現地従業員も行動制限を受けた。商談の停滞が響き、2月の輸出は46.7%減少した。同4位の建設機械最大手のコマツは感染が急拡大しているイタリアなど海外6拠点の生産を一時停止した。
中国の新型コロナウイルスに端を発した経済への影響は需要の落ち込みの連鎖を引き起こしており、製造業の不振は長引く可能性がある。
(文=編集部)