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渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

新型ハリアー、発売1カ月で受注4.5万台&納車最大6カ月待ちに…高価格でも大人気の秘密

文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト
新型ハリアー、発売1カ月で受注4.5万台&納車最大6カ月待ちに…高価格でも大人気の秘密の画像1
トヨタの「ハリアー」(「トヨタ ハリアー | トヨタ自動車WEBサイト」より)

どんなクルマなのか?

ハリアー」はトヨタ自動車の上級SUVです。以前は「レクサス」RXの日本仕様でしたが、2009年からは国内でも海外と同じRXを売るようになりました。この時点でハリアーを消滅させることも可能でしたが、人気が高く、トヨペット店の基幹車種にもなっていたので、RXとは異なる国内向けのハリアーを開発しました。それが先代ハリアーです。2020年6月17日にフルモデルチェンジを受けて、今は新型が売られています。

人気を得ている理由

 SUVは悪路を走るクルマとして生まれたので、大径タイヤの装着など外観が個性的です。ボディの上側はワゴンに準じた形状なので、居住性や積載性も優れています。カッコ良さと実用性を兼ね備えることから、SUVは人気のカテゴリーになりました。

 ハリアーはSUVの上級車種で人気も高く、レクサスRXの日本仕様だった初代モデルから好調に売れています。Lサイズのボディによって前後席ともに車内は広く、内外装は日本のユーザーの感覚に合わせて上質につくり込みました。

 現行型はエンジンやプラットフォームを「RAV4」と同じタイプに刷新しています。エンジンは直列4気筒2Lと、2.5Lのハイブリッドで、駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを選べます。ハイブリッドの4WDは、後輪をモーターで駆動するE-Fourです。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★★☆

 前後席ともに座り心地は快適です。SUVなので頭上の空間に余裕があり、後席の足元スペースも広いです。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★☆☆

 リヤゲートを寝かせたので、背の高い荷物は積みにくいですが、荷室の床面積は十分に確保されています。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★☆☆☆

 全長は4740mm、全幅は1855mmとワイドなので、ボディが大柄に感じます。ななめ後方の視界も不満です。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★★☆☆

 ハイブリッドはノーマルエンジンに比べて車両重量が約80kg重く、ボディの傾き方と揺り返しが大きめです。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★★☆

 乗り心地は低速域では少し硬いですが、SUVでは快適な部類に入ります。内装のつくりも上質です。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★★☆

 LサイズのSUVですが、ハイブリッドの燃費性能は1.3Lエンジンを搭載するコンパクトカーよりも優れています。

(7)安全装備の充実度

★★★★☆

 衝突被害軽減ブレーキは、歩行者や自転車も検知します。後退時に衝突被害軽減ブレーキを作動させる機能も選べます。

(8)価格の割安感

★★★☆☆

 充実装備で内外装も上質ですが、売れ筋のG(2WD)はノーマルエンジンが341万円、ハイブリッドは400万円です。

選ぶときに確かめたい3つのメリット

・車内が広く、内装のつくりも上質です。乗り心地も良いので快適に移動できます。

・ハイブリッドは加速がなめらかで、急加速時を除くとノイズも小さいです。

・スイッチで明るさを変えられるガラスルーフも選べます(Zにオプション設定)。

後悔しないための3つの要チェックポイント

・上級のSUVとしては、2Lエンジンは幅広い回転域で動力性能が不足しています。

・後部の方向指示ランプは低い位置に装着され、後続車からの視認性が不安です。

・助手席の電動調節機能などは、30万円のレザーパッケージでないとつきません。

こんなユーザーにおすすめ

 上質で都会的なSUVを求めるユーザーに最適です。価格は高めですが、同サイズのレクサスNXに比べると、設計が新しくて価格は割安です。後席と荷室面積が広いので、ファミリーカーとしても使いやすいです。ワイドなボディにより、長距離移動も得意です。ドアの開口部が広く、着座位置も適度ですから、乗降時の腰の移動量が抑えられて乗り降りもしやすいです。中高年齢層も使いやすいです。

今後のモデルチェンジ予想

 6年ぶりにフルモデルチェンジを行った新型車なので、当分の間、規模の大きな変更は行いません。今のところ売れ行きが好調なので、価格の割安な特別仕様車を頻繁に設定することもないでしょう。納期も長いので、今の状態で販売を続けます。

最近の販売状況と安く買うための商談方法

 ハリアーは以前はトヨペット店の取り扱い車種でしたが、2020年5月1日以降は、ほかのトヨタ車と同じくトヨタの全店で売られています。この影響もあって、1カ月後の受注台数が4万5000台に達しました。

 ただし、受注が増えた代わりに納期も遅延しています。2020年7月に注文を入れて、納車は11月下旬から12月ですから約4カ月を要します。特にZレザーパッケージは人気が予想以上に高く、この納期は2021年の1月下旬です。約6カ月に達します。

 今はハリアーをトヨタの全店で購入できるため、残価設定ローンの月々の返済額などは、同じ条件で見積もりを取り、販売系列同士で比べると良いでしょう。下取りに出す愛車の査定額も、販売系列同士で比較しましょう。

リセールバリュー/数年後に売却するときの価値

 ハリアーは価格の高い人気車なので、以前から中古車を求めるユーザーが多かったです。そのために中古車価格は高値安定型で、数年後に売却するときの条件も良いです。特に今はフルモデルチェンジの直後なので、3年後に売却する時点では中古車市場の流通台数も少なく、高額で売却しやすいです。

 そのために残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残価の割合)も、3年後で55%前後に達します。通常は43~48%なので、高人気を見込んだ残価になっています。資産価値の下がりにくいクルマといえるでしょう。

これが結論!/このクルマの総合評価&コメント

★★★★☆

 かつての高級車といえばセダンの「クラウン」が代表的でしたが、最近はハリアーやミニバンの「アルファード」が人気を高めました。車内が広く、居住性や積載性も優れ、なおかつ質感も高いためです。

 特にSUVのハリアーは、外観のデザインも新鮮で、内装の仕上げと乗り心地も上質です。カーブを曲がるときにボディの傾き方が大きいなど、低重心のクラウンに比べて安定性は少し下がりますが、不安は感じません。推奨度の高いSUVです。

 ただし、価格は高いです。ベーシックなSは比較的求めやすいですが、アダプティブハイビーム(ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を防ぐ機能)や運転席の電動調節機能は採用されません。

 そこで最も推奨度の高いグレードはGになり、ノーマルエンジンの価格は2WDでも341万円です。前述の通り上級SUVとしては動力性能が物足りないことから、ハイブリッドを選ぶと400万円に高まります。ハイブリッドの価格は59万円高く、購入時に納める税額の違いを差し引いても49万円上回りますが、静かでなめらかな走りはハリアーにふさわしいです(ノーマルエンジンはアイドリングストップがつかず、信号待ちでもエンジンが回り続けます)。

 また、助手席の電動調節機能や運転席と助手席のベンチレーション機能がほしいときは、本革シートのGレザーパッケージを選びます。そうなると、ハイブリッドGレザーパッケージの価格は430万円です。4WDは452万円に高まります。

 以上のように、ハリアーは最も安価な2WD・Sを299万円で用意するものの、実際に購入しようとすれば400~450万円の価格帯になります。

(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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