
「相変わらず西川公也元衆議院議員は『カネ持ってコーヤ』からブレませんね」――。ある栃木政界関係者は西川氏の地元での異名を挙げ、こう苦笑した。
西川氏が、河井克之前法相夫妻が起訴された買収事件に絡み検察当局から家宅捜査を受けた広島県の鶏卵生産大手から、豪華クルーザーで接待を受けていたと報道された。西川氏は収賄などのカネ絡みでの「前科」や「疑惑」は枚挙に暇がなく、金権政治家体質は変わらないようだ。
元農水相とロビイストのOBをクルーザーで接待
共同通信の22日の報道によると、西川氏は広島県福山市の鶏卵生産大手「アキタフーズ」から、元農林水産事務次官の本川一善氏と元同省畜産部長の大野高志氏と接待を受けていた。本川氏、大野氏は当日のホテル代を同社から負担してもらったことを認めた。一方、西川氏は乗船したことを認めたものの、費用負担については明言を避けたという。
この記事の登場人物をつぶさに調べてみると、今時珍しいほどシンプルな利権関係が浮かび上がる。まず、西川氏から見ていこう。
西川氏は栃木県選出で2017年に落選するまで自民党の衆議院議員を6期務めた。2014年9~15年2月まで農水相で、現在は政府の非常勤の国家公務員で助言役の内閣官房参与として農業政策を担当している。一般社団法人日本養鶏協会顧問も務めており、元職とはいえ、補助金交付などでいまだに鶏卵業界に強い影響力を持つことは明白だ。このような西川氏が非常勤とはいえ税金で飯をくっている身でありながら、特定の業者から豪華接待を受けていること自体、すでに問題だろう。
実際、西川氏は15年2月に、地元の木材加工業者から政治資金規正法違反の献金を受け取り、業者に国の補助金を得させた「前科」が発覚している。今回の接待も同様の便宜を図ってもらおうと企業側が考えたとしても不思議ではない。かつて、この件で農水相辞任に追い込まれた西川氏だが、まったく懲りていないことがうかがえる。
ちなみに、日本養鶏協会は15年に当時の会長が現金20万円を西川氏など農水族の有力議員に配り、環太平洋経済連携協定(TPP)で関税撤廃の対象外の品目に入れてもらうよう働きかけたことが明らかになっており、西川氏とはズブズブの関係だ。
冒頭の栃木政界関係者は「西川氏の金権政治家ぶりは筋金入りで、かつて地元の事務所に『役所への口利きは30万円』などと書かれた『料金表』があったとまことしやかにいわれるほど。実際、長男が経営する会社から自民党支部の政治資金で物品を購入したりするなどカネには汚いことで有名だ」と話す。