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現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”第29回

芸能マネが語る「電通案件」の恐ろしさ…クライアント至上主義、タレントの意向を徹底無視

芸能吉之助(現役芸能プロマネージャー)
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geinou どうも、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。

 マネージャー目線から見た芸能ニュースのウラ側を好き勝手にお伝えする本連載、今回は、ぼくたち芸能プロダクションと広告代理店の関係についてお話ししていきたいと思います。

 以前、この連載で、“「CM」はオイシイ仕事である”というお話をしましたね。撮影など制作にかかる時間がドラマや映画に比べて短く、1本で数千万単位の仕事になることも多いCMは、芸能プロダクションにとってすごーくオイシイお仕事。広告代理店は、そういったCMの仕事を持ってきてくれる、とってもありがたい存在なわけです。

【参考記事】「CMギャラ、日本トップは大谷翔平の2億円超?auのCM出演がめちゃめちゃオイシイ理由」

 そうした広告代理店のなかでも、群を抜いて大きな力を持っているのが、いわずとしれた広告業界ナンバーワン企業である電通グループ。博報堂、サイバーエージェント、アサツーディ・ケイ(ADK)など、他の広告代理店の追随を許さない業界トップの売上高を誇っています。電通が手がけるCMに出演するということは、トヨタ自動車、大塚製薬、日清食品、NTTドコモ、キヤノンなど、誰もが知る大企業の広告塔になれるという意味合いが強く、“電通案件”は、タレントや芸能プロダクションにとって、喉から手が出るほど欲しい広告仕事である場合が多いのです。

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東京都港区東新橋、いわゆる汐留地区にそびえ立つ電通本社ビル(写真:写真:杉本哲大/アフロ)

世間に広がる“電通案件”への拒否感

 まあ最近では、電通といえば、持続化給付金事業の“再委託”“中抜き”問題が国民の怒りを買い、安倍政権との“近さ”の問題などもあって悪いほうで話題になることも多いですよね。ネットで話題になった『100日後に死ぬワニ』(小学館)が“電通案件”ではないかと大炎上したり(実際どうなのかは不明ですが……)、「アマビエ」の商標登録出願で批判を浴びたりと、“電通案件”という言葉に拒否反応を示す一般の方も増えています。

 とはいえ広告業界では、依然として大きな力を持っている代理店であることは間違いありません。電通相手には、「ははーっ!」とひれ伏すような姿勢の芸能プロダクションも多いですよ。

 ドラマやマンガでは、現場でムチャぶりをするクライアントとワガママなタレントの板挟みになり右往左往する広告マン……みたいな場面が描かれることがときどきありますが、実際は、全然そんな感じではありません。

 ぼくの勝手な認識ですが、電通をはじめ大手広告代理店の人って、ぼくら芸能プロダクションのことは「タレントの仕出し屋」くらいにしか思っていないように思います。タレントと広告代理店、クライアントの間を繋ぐだけの存在だと。もちろんタレントはすごく重要だし、大事にしてくれますよ。ただ、彼らにとって一番大事なのは、当然ながらお金を出してくれるクライアント企業。これは絶対、変わらない。そのクライアントから、「あのタレントいいんじゃない?」と言われたからこちらに声をかけているだけ、ということがほとんどだと思います。

クライアントを優先するあまり、芸能プロ側の意向を無視する強引な広告代理店

 でも、ぼくらにとって一番大事なのは、当然ながら自分たちのタレントなので、そのタレントに何をやらせて何をやらせないかというのは、タレント本人とも相談しながらこちらが決めること。そのタレント自身や、タレントイメージを守るために、そこには譲れない一線があります。

「クライアントから依頼されている商品のPRのために多少コミカルな役柄を演じてほしいようだが、タレントのイメージを考えると、そこまでおバカなキャラは演じさせたくない」

「服飾メーカーがクライアントのCMで、メーカーイチオシの下着も着けて写真撮影したいとオーダーがあったが、それは避けたい」

「清純派で売っているタレントなので、お酒のCMに出るのはOKだが、ぐいっと一気飲みしてるさまは避けたい」

……等々、まあクライアントサイドとしてはインパクトのある広告に仕立て上げたいわけで、そうした“齟齬”はいくらでもあり得るわけです。だからこそ、事前にきちんと打ち合わせをして、ちゃんと落としどころを見つけた状態で話を進められればいいのですが、困るのは、クライアントを優先するあまり、芸能プロ側の意向を無視する強引な広告マンが少なからず存在することです。特に、電通の営業担当なんかは、イケイケなのでその傾向が強いような。いや、あくまでも私の個人的な見解ですよ?(笑)

「え、うちのタレントにこんなことやらせられません!」とCM撮影現場で大げんか!?

 実際にCMを制作する場合、まず代理店の人が、クライアントの希望を盛り込んで作った企画を「こういう企画があるんですが、どうですか? 面白いですよね!」とぼくらのところに持ってきてくれます。実際は制作会社やキャスティング会社が間に入っていたりする場合が多いですね。ぼくらは、それをスケジュールやタレントイメージに合うかなどを検討して、「ココとココを直してくれるならイケると思います」などと返すのですが……代理店の人は、ぼくらには「わかりました、善処します」なんて言っておいて、クライアントに対しては「事務所さんオッケー出ましたー!」なんて調子のいいこと言って、話を進めてしまうことがあるんです!

 そうすると、もう引き返せない状態まで話が進んだところ、本当に撮影の当日とかになって、

「え? コレはできないって言ったじゃないですか」
「でも、言われた部分を(ちょっとだけ)直してあるからできますよね?」
「イヤイヤ、これ全然直ってないですって」
「イヤイヤイヤイヤ、無理ですよ。ここまで来てやってくれないと困りますよ」

……なんていうトホホな状況が撮影現場で発生する、という事態だって起こり得るわけです。

 電通のように広告代理店の立場が強いと、だいたい芸能プロ側が折れる場合も多いのですが、ぼくの知り合いのマネージャーなんかは「話が違うだろ! うちのタレントにこんなのやらせる気かー!」と、某広告代理店のCM案件でキレてしまい、その会社から出禁を食らってしまった……なんて人もいます(笑)。

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