かつて韓国では、違法にコピーされた商品やコンテンツがあふれかえっていた。今でも日本製品を模倣したとみられる商品が散見され、たびたび訴訟は起きている。それでも、2015年に日本の最高裁に相当する韓国大法院が、「日本で制作されたキャラクターの著作権を韓国でも保護すべき」という判決を下し、それをきっかけに模倣製品は減ってきている。
この背景には、違法コピー製品が横行する中国で、韓国の製品も模倣されていることがある。韓国のブランドを守るために、外国製のものも含めて著作権保護を強化しようというわけだ。
また、昨今の日韓関係の悪化で、不買運動などが起きているように、日本製品を排除しようという動きも強まっていることもあり、日本の製品やコンテンツのコピーは目立たなくなっている。政権与党の共に民主党も、「ノー・ジャパン」のスローガンを掲げ、反日を訴えかけている。
そんななか、共に民主党議員5人が出演する広報物に日本のアニメキャラクターが無断使用されているとして話題になっている。YouTubeの広報動画内で、李在汀(イ・ジェジョン)、金南局(キム・ナムグク)、金容敏(キム・ヨンミン)、張京泰(チャ・ギョンテ)、崔恵英(チェ・ヘウォン)の5議員を、アニメの『トクスリ5兄弟』に見立てたポスターが使用されていたのだ。
『トクスリ5兄弟』は韓国で放送された際のタイトルだが、原作は日本のSFアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(フジテレビ系)だ。そのガッチャマンの画像が、そのまま与党の広報動画に使用されていたことから、韓国国内でも物議を醸している。
「反日を掲げながら、日本のコンテンツを無断使用するとは恥ずべき行為だ」
「日本のアニメを使いながら愛国を謳うのか」
など、批判的な声が圧倒的に多い。
共に民主党は、「広報の告知内容は正しいが、党が公式に制作した広報ではなく、誰がつくったのかも把握していない」「支持者が自発的につくったもので、我々も困惑している」とコメントしている。そのため、「与党の支持率を下げるために親日派がつくったのではないか」などとうがった見方をする声も一部では出ている。
真相は定かではないが、韓国ではまだ著作権を遵守意識は低いのかもしれない。
(文=編集部)