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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

安倍晋三首相を苦しめた潰瘍性大腸炎、治療困難な難病…原因はいまだ不明、大腸がん併発も

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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安倍晋三首相を苦しめた潰瘍性大腸炎、治療困難な難病…原因はいまだ不明、大腸がん併発もの画像1
「Getty Images」より

 安倍晋三首相が「潰瘍性大腸炎」による体調不良を原因に辞意を表明したことで、潰瘍性大腸炎という病気に対する注目度が高まっている。中等症以上の過敏性大腸炎では、医療費助成制度が受けられるほど治療が困難な疾患である。一国の総理を退かせるほどの潰瘍性大腸炎とは、どんな病気なのか。一般社団法人予防医療研究協会理事長の苅部淳医師に聞いた。

「潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下痢と腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります」

 症状の程度により軽症、中度、重症に分類でき、中度以上では指定難病となり医療費控除制度を受けることができる。重症では、発熱や頻脈などの自覚症状も強く、また長期間血便が続くこともあり、それに伴い貧血となり、ふらつきが起きることもある。

 8月15日、安倍首相が全国戦没者追悼式に出席した際に「式辞の声は弱々しく、かすれ、壇上からスロープを下りてくる時には体がふらついていた」としてネット上をざわつかせていたが、潰瘍性大腸炎の悪化に伴い健康状態がかなり悪いなかで公務を続けていたと推測できる。

 安倍首相の辞任会見によって潰瘍性大腸炎がクローズアップされたことは、これまで病気についての理解が得られず社会生活を営む上で悩んでいた多くの患者にとって、大きな救いとなるだろう。

 潰瘍性大腸炎の患者は年々増加する傾向にあるが、その原因はさまざまだという。

「潰瘍性大腸炎の患者数は16万6060人(平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計)、人口10万人あたり100人程度で、米国の半分以下です。これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられていますが、まだ原因は不明です」

 また、栄養の摂取が難しくなることから体重が減少するケースもある。さらに、炎症が腸管壁の奥まで進行すると、さまざまな腸管合併症が起こる。発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳だが、年齢を問わず発症する。重症患者は少なく90%が軽度から中度の症状である。長期間活動性の状態が持続すると、がん化することがある。

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