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重盛高雄「謎解き?外食が100倍面白くなる話」

大戸屋、店舗訪問で見えた客離れ&債務超過の原因…好調「かつや」との致命的な差

文=重盛高雄/フードアナリスト
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大戸屋の南池袋店(「Wikipedia」より)

 大戸屋ホールディングスは10日、9月末時点で14億9500万円の債務超過になったと発表した。不採算店舗の減損処理に伴い17億円を計上したことが響いたと報じられている。

 4日に臨時の株主総会を開催し、旧経営陣を一掃したあとでのこの発表に、戦略的な印象操作を感じた大戸屋ファンも多かったのではないだろうか。

 大戸屋のお家騒動に端を発した近年の騒動は、コロワイドグルーブによる買収劇をもって幕を閉じた。経営方針をめぐり敵対的な買収にまで発展し、結果として勝利を収めたコロワイドであるが、世間的な評判は決して良くない。旧経営陣にすべての責任を押し付けて、自分は会社を立て直す存在であることをことさらに強調する姿はあまり美しいものではない。

「店内調理へのこだわり」(大戸屋)と「セントラルキッチン利用」(コロワイド)をめぐる対立と世間ではみられているが、両者ともにコロナ禍における戦略は決して成功したとはいえない。

 コロワイドは10日、2021年3月期第2四半期決算短信(連結)を発表。コロナ禍終息が見通せないなかで、業績への影響は大としている。

 大戸屋の業績は4月以降、来店者数に正比例して売上高が減少している。客単価に大きなブレがないなかでの業績低迷は、イートイン以外の戦略が底支えになっていなかったことの証左だ。直近で発表のあった9月期では、既存店の売上高は前年同月比20.4%減、客数は20.0%減、客単価は0.5%減である。4~9月の上半期平均では売上高は前年同期比31.0%減、客数は30.0%減、客単価は1.4%減である。

 ビジネス街の店舗では昼食時間帯に多くの弁当を並べて販売していたが、他業態の弁当や弁当業者の移動販売と重なり、結果を残すことは難しかった。大戸屋は路面店が少ないなかで、店舗前で販売するというデメリットもあったのかもしれない。

 大戸屋最大の失敗は大きく2つあると、筆者は各店舗を回って感じた。

 10月6日放送の『ガイアの夜明け』(テレビ東京)でも触れられていたが、新商品の試食は社長が行うという商品戦略(開発)が一つ目の失敗。大戸屋の原点・想いは「かあさん額」であり、お客様に喜んでもらう手作り料理である。ところが、商品開発の場面では社長が全商品を試食して評価しており、そこにお客の姿はない。社長に認められる料理をつくるために料理人が腕を振るうことに違和感を覚えた人は多かったのではないか。一軒しかない定食屋さんなら自然な姿かもしれないが、大戸屋の規模であれば不自然だ。

 また、全国一律のレシピも疑問だ。コンビニのおでんでも地元の味を大切にして、出汁を変えていることは知られている。地域だけでなく客層によってもおいしいと感じる味は違う。

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