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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

節税策は「ふるさと納税」だけじゃない!簡単にできる「セルフメディケーション税制」

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
節税策は「ふるさと納税」だけじゃない!簡単にできる「セルフメディケーション税制」の画像1
「Getty Images」より

 長引くコロナ禍に伴い、賃金・給与の引き下げやボーナスカットなどを行う企業も少ない。雇用も落ち込み、厳しい状況のなか、さらなる感染拡大によって出口の見えない状況が続く。

 この数年、年末になると所得税の還付や住民税の控除を目的に、駆け込みで「ふるさと納税」を行い人は多いが、経済が落ち込む今年も、その需要は高まるだろう。だがほかにも、個人が申告できる節税策として、2017年から「セルフメディケーション税制」が施行されていることをご存じだろうか。

 セルフメディケーションとは「自主服薬」を意味し、自分の体調や健康を自身で管理し、自分の責任において「OTC医薬品(市販薬)」を利用し、病気の治療や予防を行うことである。国はセルフメディケーションの意識が国民に広く浸透すれば、医療費の削減と国民の健康増進という一石二鳥ともいえる効果を生むことを期待し、セルフメディケーション税制を創設した。

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 セルフメディケーション税制とは、対象となる「スイッチOTC医薬品」(医療用医薬品のうち、副作用が少なく安全性が高いと認められOTCに転用されたもの)を1年間で合計1万2000円を超えた分(上限8万8000円)について、その年分の総所得金額等から控除を受けることができる医療費控除制度の特例である。但し、医療機関受診による医療費控除との併用はできない。1年間の医療費が10万円を超えた場合に申告できる従来の医療費控除制度に比べハードルは低いが、セルフメディケーション税制を申告するには一定の条件を満たす必要がある。それは、以下の通りである。

1.住民税、所得税の納税者
2.特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診断、がん検診など、一定の取り組みを健康増進、疾病予防のために行っている。

 インフルエンザワクチン接種も“一定の取り組み”に含まれるため、これからでもセルフメディケーション税制を利用するための条件を整えることは、高いハードルではないだろう。対象となるスイッチOTC医薬品は、厚生労働省HPにて確認することができる。

セルフメディケーション税制申告の方法

 申告時には、「商品名」「金額」「当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である表示」「販売店名」「購入日」が明記された領収証が必要である。店によって書式が異なることもあるが、上記5項目が必須である。申告に必要な条件を満たす特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診断、がん検診などを行ったことの証明書の添付が必要である。

 新型コロナウイルス感染防止の観点から、軽い症状であればセルフメディケーションにより治療することは有益だと思われる。だが、セルフメディケーションを目的としたOTC医薬品の購入時には、薬剤師に相談し、薬について十分に理解した上で服用することが重要である。また、3~5日しても症状の緩和がないときは、速やかに医療機関を受診してほしい。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

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吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

 

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