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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」

2021年、3つの「グレート・リセット」…地球温暖化、富の格差、民主主義の機能不全

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
2021年、3つの「グレート・リセット」…地球温暖化、富の格差、民主主義の機能不全の画像2
スイスのコロニーにある世界経済フォーラム本部(「Wikipedia」より)

 世界の頭脳が集まるダボス会議。2021年に開催されるダボス会議のテーマが「グレート・リセット」です。これは資本主義の行き過ぎ、社会の分断、地球温暖化などあらゆる視点でみて現行の社会システムが機能不全に陥りかけている現状を鑑みて、それをどうリセットすべきなのかについて議論をするという壮大なテーマです。

 新型コロナウイルスの影響でダボス会議は5月に延期され、場所もスイスのルツェルンから暖かいシンガポールへと変更が発表されました。具体的にどのような議論が行われるのかは、これから検討されていくでしょう。すべての産業に大きい影響を与えるテーマなので、ダボス会議がどこまで踏み込むのか世界の関心が高いと思われます。

 さて、その期待も込めて、本来であれば今、世界はどこまでグレート・リセットが必要なのかについてこの記事でまとめてみたいと思います。

地球温暖化

 まず第一のリセットの議題として、地球温暖化を挙げさせていただきます。このテーマはアメリカの新大統領がジョー・バイデン氏に確定した影響がとても大きい項目です。というのは、持続可能な社会に戻したいというのがバイデン新大統領の最大の公約だからです。

 トランプ大統領がパリ協定を離脱したため、現在アメリカは温室効果ガス削減に後ろ向きな立場をとっているのですが、2021年からはその方針が180度変更されることが想定されます。

 日本政府が最近、脱化石燃料を打ち出してトヨタ自動車を慌てさせたのも、このアメリカの政権交代を意識しての方針転換だと思われます。もともと欧州と中国は温室効果ガス削減に前向きなので、ダボス会議では地球温暖化阻止に向けたひとつの流れができるのは間違いないと思います。

 ただここでひとつ、実は大きな論点があります。今、温室効果ガスとしては二酸化炭素の削減だけが大きく取り上げられています。しかし地球温暖化を本当に止めるのであれば、実はメタンと一酸化窒素の規制にも踏み込まなければならない。そうするかどうかが世界の利害関係者の意見が最も分かれるポイントです。

 二酸化炭素の削減は工業と輸送産業の問題であり、コストがかかるけれども技術的な解決策もある問題でもあります。しかし、メタンと一酸化窒素は農業と酪農の問題であり、解決策は化学肥料の利用をやめるか、家畜の飼育をやめるという踏み込みにくいテーマが論点となってしまいます。

 そのためグレート・リセットといっても、おそらく議論の中心は二酸化炭素にとどまり、結果としては2040年頃に想定される「もう立ち戻れないポイント」をリセットできずに地球全体の温暖化は進むことになるのではないかというのが現実派の観測です。いずれにしても、これが最初のアジェンダです。

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