ビジネスジャーナル > キャリアニュース > 異色の“コーヒー芸人”が誕生した理由
NEW

松竹芸能に元タリーズ店長の“コーヒー芸人”が誕生した意外な理由

構成=安倍川モチ子/フリーライター
松竹芸能に元タリーズ店長のコーヒー芸人が誕生した意外な理由の画像1
コーヒールンバの平岡佐智男

 自分の特技や知識を生かした“○○芸人”が増えている中、コーヒー芸人として活躍の場を広げているのが、松竹芸能所属のコーヒールンバの平岡佐智男だ。コンビ芸人として活動するかたわら、『マツコの知らない世界』(TBS系)や『ワケあり!レッドゾーン』(読売テレビ)などの番組で、ちょっとディープなコーヒーの世界を紹介している。

 過去にタリーズコーヒーの店長を務めていた経験もあり、コーヒーの知識や技術は本物。「SACHIOPIA COFFEE」という自身のコーヒーブランドを運営していたり、スペシャルティ・コーヒー専門店「猿田彦珈琲」の広報を務めていたりと、幅広く活躍している。

 新型コロナの影響で芸人としての活動が制限されてしまっている今、副業に力を入れるのも自然なことなのだろうが、○○芸人たちは、なぜ芸人を辞めて副業を本業にしないのか? 本業と副業に対する考え方や力の入れ方の違いなどを聞いてみた。

ライブが激減も前向きになれた理由

――コロナの影響で、芸人の活動には何か変化がありましたか?

コーヒールンバ・平岡佐智男(以下、平岡) いろいろなことが変わりましたね。一番大きなのは、やはりライブが激減したことです。昨春の緊急事態宣言の前後から軒並みキャンセルになって、春は1本もありませんでした。松竹芸能では、夏頃から観客数を減らした状態で少しずつ開催するようになりましたが、以前と比べても出演は減りました。状況を見ながら単独ライブを行うコンビがチラホラ、といった感じです。

――ライブ以外の活動はどうですか?

平岡 コロナ前はネタ番組のオーディションにちょくちょく行っていたんですが、コロナ後はネタ番組自体が減ってしまって、オーディションに行く機会自体がなくなりました。代わりに動画でオーディションが行われることもあるんですが、今までと勝手が違いすぎるので、審査されている感覚はまったくないです(苦笑)

松竹芸能に元タリーズ店長のコーヒー芸人が誕生した意外な理由の画像2

――自粛期間中はどんなことをしていましたか?

平岡 ライブやオーディションがないので、芸人としてすることがなく、このままだとヤバいと思って、「わがまま気のままコーヒールンバ」というYouTubeチャンネルを開設しました。過去のネタや2人のトーク、やってみた系の動画をアップしています。あと、おうちでのコーヒー需要が高まっているのか、ラジオ番組でのコーヒー特集などでリモート出演などが少し増えましたね。

 僕たちのコンビは以前から仲がいい方だったんですが、コロナになってからさらに仲良くなった気がします。コロナ禍が「自分たちのことは自分たちで何とかしないといけない」という意識を生んだんでしょうね。事務所の後輩が茨城県牛久市でコミュニティラジオをやっているんですが、「タダでいいから呼んでくれ!」とお願いして、2人でGo Toキャンペーンを使って自腹で牛久まで行きました(笑)。こういうのが久しぶりすぎて、テンションが上がって、2人で前泊しました。

――強制的に意識改革させられたんですね。

平岡 そうですね。年々、芸人人口が多くなっていて、さまざまなケースの人がいると思うのですが、僕個人としてはライブがなくなったことは大きな変化ではありませんでしたね。コーヒー芸人としての仕事があったので。むしろ、ライブがないならないで「コンビで何かやろう!」と前向きになれたので、その点はプラスだったかもしれません。

松竹芸能に元タリーズ店長のコーヒー芸人が誕生した意外な理由の画像3

コーヒー芸人になったのは「完全に流れ」

――コーヒー芸人の仕事の中身が気になるのですが、そもそも、なぜコーヒー芸人を始めたんですか?

平岡 それ、よく聞かれるんですけど、別に「コーヒー芸人になろう!」と思って始めたわけじゃないんです。完全に流れです(笑)

 実は僕、芸人になって3年目くらいで一度芸人を辞めて、それから4年間タリーズコーヒーで働いていたんです。芸人を辞めた理由は「相方が辞めるから」でした。別にピン芸人として続けてもよかったんですが、なぜか「相方が辞めるんなら、一緒に辞めるものだ」と思い込んでいたんです(笑)

 芸人を辞めてからも、今の相方の西原とは仲が良くて、2人で遊んだりもしていました。そのうち、西原が前のコンビを解散することになって、「2人で組まないか?」と誘われて、松竹芸能に戻って、また芸人になったんです。

――コーヒー芸人になったのは、松竹芸能に戻られてからですか?

平岡 いえ、戻ったときは、まだそんなことは全然考えていませんでした。でも、まったく自分とは関係ない大先輩のライブの楽屋にコーヒーを淹れる要員として呼ばれるうちに、いろいろな先輩から顔を覚えられるようになって、「タリーズで店長してたんなら、コーヒーをからめた方がいい」と言われて、「コーヒールンバ」というコンビ名を命名されました。

 それなら、ということで、YouTubeでコーヒーをからめた動画をアップしたりしているうちに、「コーヒーに詳しい芸人がいる」ということが徐々に浸透していって、テレビ番組の出演依頼などが来るようになったんです。

 今から6年くらい前になるんですが、爆笑問題さんが司会をされていた『ヒーデル公爵』(フジテレビ系)という番組の中で、スターバックスに詳しい芸能人を集めたクイズバトルをしました。出場者は、眞鍋かをりさんと杉浦太陽さんと僕。誰だよ、こいつ。よっぽど知識すごいんだろうな、という雰囲気の中、クイズ開始早々に散ってしまいました(苦笑)。

松竹芸能に元タリーズ店長のコーヒー芸人が誕生した意外な理由の画像4

 ほどなくして、『EXILEカジノJP』(同)という番組でEXILEのTETSUYAさんとコーヒーの世界チャンピオンが創作コーヒー対決をするコーナーがあって、その司会兼解説要員としても呼ばれたんですね。でも、2人が詳しすぎて僕の解説じゃ追いつかなかったんです……。

 コーヒー好きを公言していたくらいなので、自分はけっこうなコーヒー通だと思っていたんですが、上には上がいるんだということをヒシヒシと感じましたね。自分の知識不足だけじゃなく、コーヒーの世界って本当に幅広くて奥が深いんだということを知って、真剣にコーヒーと向き合おうと思いました。

 自動販売機で売っているコーヒー、カフェのコーヒー、コーヒー豆やコーヒーの文化について、とにかくコーヒーにまつわることすべてを勉強しようと思って、いろいろとやりました。すると、コーヒー関連のイベントやフェスに呼ばれるようになったり、不定期ですが「SACHIOPIA COFFEE」のオープンにつながったりして、仕事が増えていったのです。

後編へ続く。

(構成=安倍川モチ子/フリーライター)

安倍川モチ子/フリーライター

安倍川モチ子/フリーライター

東京在住のお笑いスキー、歴史スキー、ダンススキーな(京都の女子大の歴史学科卒、元ダンス部部長)ライターです。広告・プロモーションのプロデュース及び企画制作をしていた会社で、編集経験あり(3年弱)のため、たまに編集もします。
執筆道とりこ

Twitter:@mochico_abekawa

Instagram:@abekawa_mochico

松竹芸能に元タリーズ店長の“コーヒー芸人”が誕生した意外な理由のページです。ビジネスジャーナルは、キャリア、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!