予想していたとはいえ、緊急事態宣言発令によりアパレル業界をめぐる環境はますます厳しくなった。人々のコミュニケーションの減少、ステイホームによる「別にこれでいいや」現象などが続くと、経済全体は沈んでいく。ここはあえて「2021年、人々の役に立つ、噛み応えのある1着とは?」という視点で考えてみたい。
比較的安価で見栄えや機能性に優る商品(ブランド)はわかりやすいし、シェアも高くなるだろうが、着る人の意識やニーズがさらに変化する時代には、ちょっと別の視点も入れて、違う何かを探したくなるだろう。ただ、それがどこにあるか不明なことも多い。
そんな折、筆者が代表を務めるVMIパートナーズ合同会社のホームページ改修を担当してくれているGood Things合同会社が、アパレルをメインしたライフスタイルEC「seven dot」を手掛け、そのユニークな視点が話題になっていると聞き、代表の寶諸江理奈さんにお話を伺った。
寶諸さんは、広島県福山市生まれ。広島大学卒業後、食品メーカーにてEコマースの立ち上げを経験し、07年にサイバーエージェントへ入社。新規事業の責任者としてサイバー・バズ、Amebaにてwebシステム開発、webプロモーションやコミュニケーションデザイン、クラウドファンディングサイトのプロデューサーの経験を積み、越境ECベンチャーを経てGood Thingsを設立。これまでに20件以上の大・中規模システム新規開発・設計の経験がある。バリバリのシステムプロデューサーで、従来のアパレル視点を超えたユーザー、コミュケーションへの独自視点を伺うことができた。
“輝ける”“寄り添える”シームレスな服
――この活動を始めた経緯は?
寶諸 私自身、ITをずっとやってきて、そこでは、どうしても手触り感が不足していることを実感してきました。情緒を感じる心も。そして買い物で考えるとオンラインとオフラインを使い分けることが大切ですが、すべてロジカルじゃなく、手触り感をもっと感じられる場をつくりたい。そのためにライフスタイル全般を伝えるアパレルを選んで始めました。
――seven dotというブランド名にかける思いは?
寶諸 以前に比べて女性の社会進出が進み、女性が働くに際して徐々に環境が整ってきました。でも、まだまだ改善すべきところがあります。時短の方もいらっしゃいますが、フルタイムであれば1日8時間、週5日勤務で2日休日。働く女性にオン・オフ問わず“輝ける”“寄り添える”シームレスな服を伝えることで、できることがあるか? また、その7日間に彩りをと思い、seven dotというブランド名にしました。
――ブランドコンセプトで、女性のライフステージの変化に着目するところは多いが、そこで“自分らしくを忘れない人に”とならないところが、実にユニークだと思います。