日本のバブル経済崩壊後に、庶民の頼もしい味方として登場して以来、我々の生活には欠かせない存在となった100円ショップブランド。とりわけ1977年の法人化以降、業界の最前線で活躍している「ダイソー」は店舗数トップの地位をキープし続けている。
ダイソーは2020年2月末までに日本全国に3493店舗を展開し、世界26の国と地域にも2248店舗も有している。また、その売上高も凄まじく、2020年3月末は5015億円という数字を記録している。
しかし、勢い衰えぬダイソーの店頭には、魅力的な商品もずらりと並んでいるが、なかにはそのクオリティに少々首を傾げざるを得ない商品も。今年の春も「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」は独自調査を敢行。「この春、買ってはいけないダイソーの残念グッズ」を5品選出した。
インフィニティミラーライト パイナップル/550円(税込、以下同)
おしゃれなバーなどで時折見かけるインフィニティミラー。LEDライトの光が鏡の向こうまで続くような幻想的な効果が特徴で、思わずずっと眺めてしまうような魅力的なインテリアとしてご存知の人もいることだろう。
ダイソーの「インフィニティミラーライトパイナップル」は、550円という安価でインフィニティミラーの効果を再現できる商品だ。仕組みは意外と簡単で、いわゆる合わせ鏡を光が半分透過するマジックミラーで行い、その間にLEDライトを挟み込むという形になっている。
電池を入れて稼働させると幻想的な光景を楽しむことができるが、本品に使われているマジックミラーはかなり安っぽく、覗き込むとグニャグニャと歪んでいることがわかるはずだ。しかも、パイナップルを象っていることで鏡の面積が歪(いびつ)になっており、鏡として使うにはかなり無理がある。インテリアとして使うのならまだしも、鏡の機能にも期待を寄せるなら避けたほうがいい商品だろう。
ペットボトル加湿器/330円
リモートワーク中やオフィスのデスク周りに、ミニ加湿器が欠かせないという人も少なくないはず。そんなときに活躍するという触れ込みなのが、この「ペットボトル加湿器」だ。
ダイソーのなかでも比較的高価格帯である300円台の商品。空のペットボトルに水道水を注ぎ、そこにUSBで給電した本品を差し込めば、超音波振動でミストが噴霧されるという仕組みである。実際に使用したところしっかりと機能するので、加湿効果的には問題はない。
だが、気になるのは吸水システムの組み込まれたロッド部分の短さ。500ml、さらには推奨される300mlのペットボトルでもかなりの水分が余ってしまうのだ。さらに言えば、きれいに洗浄した空のペットボトルを自分で用意しなければならない手間がかかるため、これを買うよりは吸水ボトルが内蔵されたタイプのミニ加湿器を買うほうが面倒は少ないかもしれない。
味付けたまごメーカー/110円
毎日の晩酌のおつまみに最適な味付けたまご。ゆで卵を醤油やみりんとともに漬けておくだけの簡単料理ながら、病みつきになってしまう美味しさが特徴だが、漬け込む際にボウルなどを使うと、ひたひたにするため無駄に調味料を浪費してしまうという不安要素があるのも事実。
そんな場面に活躍するというのがこの商品。ポリプロピレン製の本品にはゆで卵4個分のくぼみが空いており、ゆで卵と調味料を入れてふたをすれば、少量の調味料で味付けたまごができてしまうというのだ。
実際とてもキレイにできる。が、付属の落としぶたが洗いにくく、さらに言えばチャック付きポリ袋の空気を抜いて入れれば同じような効果が得られるのだ。ポリ袋の場合だと浸かるときの色ムラはあるかもしれないが、味はしっかり染み渡るので、わざわざ購入するメリットがあるかというと疑問符が浮かばざるを得ない。
ふりふりチップス/110円
家で食事を済ませる機会も多い昨今。ご飯用のふりかけやヨーグルトなどにかけるチョコフレークなど、いつもの食事にひとつ気の利いたふりかけが乗っていると気分も上がるというものだ。
SNS上では、よく市販のスナック菓子をふりかけにしたアレンジレシピなどが話題になるが、この「ふりふりチップス」はそうした“お好みふりかけ”が自分で作れてしまうという商品。シャワーヘッドのように穴の空いた本品にお好みのスナック菓子を入れて、ハンドルを回せば、まるでペッパーミルのようにふりかけができる。
この商品、使うまではいいのだが、問題は洗い物の場面。細かな穴にスナック菓子が付いてしまい、これが洗いづらいこと、この上ないのである。そういった苦労を毎回するぐらいなら、チャック付きポリ袋にスナック菓子を入れて砕いたほうが、余った分をそのまま保存できるのでよほど効率的だろう。
フック付き布団バサミ/110円
最後に紹介するのは「フック付き布団バサミ」。実は昨春掲載の当サイト記事『ダイソー、買うと後悔必至の商品5選…ワイヤレスマウス、ブルートゥースイヤホン』でも「がっちりふとんばさみ」という商品を紹介しているのだが、機能面でこちらとほとんど同じ問題があったので選ばせていただいた。
春風が吹きすさぶこの季節、ベランダで布団を干す際などはしっかり固定してくれる器具が欠かせないが、この「フック付き布団バサミ」は要注意。さすがのダイソーらしく、布団はきっちりと挟んでくれるのだが、問題はその耐久性にある。
110円という安価でつくるために仕方ないことではあるのだろうが、材質のポリプロピレンは日光に長時間当てていると劣化し、破損してしまうのだ。布団を干すとなると必然的に日光に長時間さらされることになるので、自ずと劣化が早まることになり、これを買うなら金属製の布団バサミを使ったほうが「安物買いの銭失い」に陥らないだろう。
基本的にダイソーの商品は安価で高品質なものばかり。今回選出したものも一概に悪いというわけではないのだが、別の方法で効率的に代替できてしまうことを鑑みてのチョイスであるということをご理解いただきたい。本記事で取り上げた商品も参考にしつつ、ぜひダイソーで賢い春のお買い物を楽しんでみてほしい限りだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)
※情報は2021年3月20日現在のものです。