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トヨタ「GR86」、進化した2代目が超刺激的!共同開発のスバル「BRZ」とは異なる個性

文=木下隆之/レーシングドライバー
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「Getty Images」より (「Wikipedia」より)

 トヨタ自動車「86」が「GR86」と名前を変え、2代目へと進化。スバル「BRZ」との共同開発のスタイルに変更はないが、それでも独自色が色濃い。血縁を共にする一卵性双生児の関係であるコンパクトスポーツカーでありながら、異なるパーツを組み込むことで性格が変化したことがトピックである。

 新型GR86とBRZは、トヨタとスバルの資本と技術の提携の中で生まれた特異なスポーツカーである。生産車を持ち寄り、それぞれのバッヂで販売するプライベートブランドでもなく、もちろんノックダウンでもない。今回も開発の主導権を握ったのはスバルで、生産もスバルの工場である。したがって、一本の同じ生産ラインに乗って流れてくる。出荷もスバルの工場からだ。

 共通のエンジンは、スバル伝家の宝刀である水平対向4気筒。ターボの力を借りないNAエンジンであることに違いはない。だが、排気量が拡大された。これまでの2リッターから2.4リッターにスープアップ。最高出力は205psから235psに強化された。FR駆動方式に変更があろうはずもない。軽量コンパクトFRクーペという、魂の部分での迷いはない。

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 徹底したダイエットも進んでいる。とはいえ、BRZとGR86の1480kgという車両総重量には変更はない。エンジンや操縦安定性や、装備の充実などによる肥大化は避けられなく、策を打たなければ+75kgの重量増を招くという状況下でありながら、それでもスタビライザーの中空化や骨格部分の100g単位の削り込みを進め、軽量スポーツカーのスタイルを維持したことは素晴らしい。トヨタとスバルの共同開発という特異なスタイルには多くの困難があったと想像するが、志を一つにして突き進んだ痕跡が窺えるのだ。

 ただし、走り味はそれぞれが個性を主張している。GR86のエンジンフィールは刺激的だ。アクセルの踏み込みに対して燃料供給量を早くから増量する。それによって、微小なスロットル開度からパワーがみなぎる。一方のBRZは、右足の踏み込みに対してリニアに出力が増すようなセッティングである。パワーの増減はドライバー操作に依存している。好みの分かれるところだろう。

 操縦性にも同様な個性が感じ取れた。GR86はステアリング応答性が鋭く感じられる。旋回特性も強調されており、振り回してスポーツドライビングを堪能したいという向きには歓迎されるであろう。

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 一方のBRZは、あくまで弱アンダーステアに徹しており、バランスの良いハンドリングが信条である。ボディ剛性が引き上げられていながら、サスペンションは柔軟に動く。大人の走り味に思えた。

 基本的な骨格は共通だから、あからさまな違いではなく、交互に乗り換えて検証したからこその差異ではあるが、特性を変化させたことはユーザーの選択肢が広がることでもあり歓迎できる。

 GR86は刺激的で力強いパワーフィールを求めて開発されている。BRZはドライバーの感覚に従順なリニアな吹け上がりを優先している。このように、“刺激のGR86”と“バランスのBRZ”として個性に磨きをかけているのが特徴なのだ。

 トヨタとスバルのアライアンスを一層深める象徴のような開発スタイルでありながら、個性がそれぞれ際立つことが印象的だった。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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