NEW
「加谷珪一の知っとくエコノミー論」

国の基幹統計全体への疑義広まる、先進国の地位から脱落…人権無視の隣国と同レベル

文=加谷珪一/経済評論家
国土交通省
国土交通省(「Wikipedia」より)

 国土交通省が国の基幹統計を書き換えていたことが明らかとなった。基幹統計はGDP(国内総生産)の算出にも使われており、統計が信頼できるかどうかは、国家の信頼に直結する問題といえる。厚生労働省でも過去に似たような統計不正が発覚している現実を考えると、日本はもはや先進国とは呼べない領域に近づきつつある。

どうしても残る不可解な点

 今回、不正が発覚したのは、国土交通省の「建設工事受注動態統計」である。この統計は建設業の毎月の受注実績を取りまとめており、都道府県を通じて事業者からデータを収集している。GDPの算出には公共工事の推計が不可欠だが、この統計は基礎情報のひとつとなっており、重要度は極めて高い。

 具体的には、全国の建設事業者から約1万2000社抽出し、月ごとの受注高を記載した調査票を提出してもらうという方法で集計が行われる。事業者からは月ごとに調査票の提出を受けるが、事業者の中には締め切りまでに調査票を提出できないところもある。この場合、数カ月分のデータを合算する形でデータを処理していた。

 数カ月分のデータを合算すると、月ごとの受注実績に違いが生じるが、数カ月程度のズレであれば、年度内では帳尻が合う。GDPの推計は四半期ごとに行っているので、月ごとの数字にズレが生じること自体も問題ではあるが、取り返しの付かないレベルとまでは言えない。だが話はそれだけにとどまらなかった。

 同省は2013年からデータ処理の方法を変更し、未提出の事業者については事後に合算するのではなく、調査票が提出されていなくても推計値を入力するようにした。

 推計値を入力するのであれば、事後に調査票が提出された場合、両者のズレを修正しなければならない。だがそうした作業を行っていなかったばかりでなく、事後の調査票の数字も入力し、数字を二重計上していた。こうした二重計上は2013年4月以降、8年にわたって続き、会計検査院からの指摘(2019年11月)を受けるまで止まらなかった。検査院の指摘から2カ月が経過した2020年1月になって、ようやく都道府県に書き換えの停止を指示している。しかも2019年以前については調査票の一部が廃棄されており、正しいデータに修正することもできない状況だ。

 それにしても不可解なのは、データ入力の方法を変更した際、なぜ数字を水増しする形で処理したのかという部分である。推計値のデータを入力し、その後、提出されたデータを書き加えれば、二重計上によって数字が水増しされるのは明らかである。二重計上する以前、数カ月分の数字を合算していたことに関しては、(決して許されることではないものの)担当部署の判断として理解できない措置ではない。時期が多少ズレても、数字の絶対値を変えていないのであれば、GDP統計への影響は軽微であり、重大な不正にはならないからである。

RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合