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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

減価するデジタル通貨で出産手当てを支給し、出生数の引き上げを

小黒一正/法政大学経済学部教授
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「gettyimages」より

 日本経済が抱える問題は様々だが、最も大きな問題は人口減少であろう。人口減少は賦課方式の年金や医療・介護などの社会保障制度の持続可能性を低下させるとともに、消費人口や労働人口の減少を通じて経済の活力を徐々に奪っていく。

 なかでも最も深刻な影響を受けるのが地方経済だ。国交省が約8年前に公表した「国土のグランドデザイン2050」によると、2010年から2050年で人口が5割以下あるいは無居住化する地域が日本全体の6割にも達すると予測する。

 できれば出生数を引き上げ、人口減少に一定の歯止めをかけたいが、現実には人口減少は加速している。2021年の出生数は80万人割れを何とか回避できた模様だが、2022年で出生数が80万人を割り込む可能性がある。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(平成29年推計、出生中位・死亡中位)では、出生数が80万人割れとなるのは2033年と予測していたので、政府の想定よりも10年ほど前倒しのスピードで人口減少が進んでいることを意味する。

 この問題を解決するため、これまで政府は地方創生や子育て支援の強化などを展開してきたが、正直、出生数の減少が改善する兆しはない。人口を増やすために積極的な移民の受け入れに舵を切る選択もあるが、文化的摩擦も発生する可能性があることから、それを是としない場合、従来と異なる「異次元の政策」が必要となっている。

「減価するデジタル通貨」と出産手当て

 そこで、筆者が提案したいのは、「減価するデジタル通貨」を利用した少子化対策だ。具体的には、出生数を底上げするため、例えば「出産手当て」(仮称)として、子ども1人当たり500万円分の「減価するデジタル通貨」を給付する。

 現在の出生数は毎年80万人程度だが、年間の出生数が200万人になると、年間で10兆円の財源が必要になる。消費税の引き上げでこの財源を賄う場合、4%程度の増税が必要になるが、なかなか政治的な合意を得るのは容易ではないだろう。また、国債発行で賄う方法もあるが、政府債務(対GDP)が200%超もあるなか、10兆円の借入れを10年間も継続すれば、100兆円も債務が増えてしまう。20年間では200兆円の借入になる。

 MMT(現代貨幣理論)では、このような場合、法定通貨の発行で賄うことを提案するかもしれないが、100兆円や200兆円も法定通貨を発行すれば、制御できないインフレが発生してしまう可能性もある(詳細はこちら)。このような問題を解決する一つの方法が「減価するデジタル通貨」で財源を調達することである。

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