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藤和彦「日本と世界の先を読む」

原油価格高騰後に急落、リーマンショック直前の状況と酷似…震源は中国不動産市場か

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー
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中国・深圳市(「gettyimages」より)

 米WTI原油先物価格の下落が続いている。3月14日には一時、1バレル=100ドル割れとなった。ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米の経済制裁により、原油価格は1バレル=130ドルを超え、「150ドルになるのは時間の問題だ」との声が高まっていた3月前半とはまったく違う様相を示している。

 強気一辺倒だった市場に転機をもたらしたのは、9日の駐米アラブ首長国連邦(UAE)大使の発言だった。「UAEはOPECに原油増産を検討するよう働きかける」とのメッセージが市場を駆け巡り、原油価格はあっという間に1バレル=100ドル台に急落した。

 原油価格が14年ぶりの高値となり、OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)に対して「増産のペースを加速すべき」との声が高まっていた矢先に、サウジアラビアとともに増産余力があるUAEが前向きな発言を行ったことは非常にタイムリーだった。人工知能(AI)による自動売買が主流となっている原油市場が、UAE大使の発言に過剰に反応した可能性がある。

 だが、その直後にUAEのエネルギー大臣が「OPECプラスの従来の方針に従う」と駐米大使の発言を否定したものの、原油価格が再び上昇することはなかった。欧米諸国の制裁によりロシア産原油が行き場を失い、「世界の原油市場の供給不足」という構図がまったく変わっていないのにもかかわらず、市場からは意外にも「相場は当面の天井を付けた」との声が聞こえてくる。

 原油市場の激変で思い出されるのは2008年の前例だ。原油価格は2008年7月に1バレル=147ドルの史上最高値を付けると急落し、その2カ月後の9月にリーマンショックが起きた。米国の不動産バブルを引き起こしたサブプライムローンのせいで不調になっていた金融市場が原油価格の高騰に耐えかねて、結果的にリーマンショックが起きてしまったと指摘する専門家は少なくない。

 コロナ対策として実施された超金融緩和がもたらした世界規模のバブル経済を心配する専門家のなかで「原油価格高騰が次の金融危機の引き金になる」と危惧する向きもある。足元の原油価格の急落は「原油価格の高騰が災いとなってリーマンショックのような金融危機が再び起きる」ことを暗示しているように思えてならない。

中国の不動産市場が苦境

 次に金融危機が起きるとすれば、震源地は米国ではなく中国だろう。中国政府の締め付けにより昨年11月に恒大集団が経営危機に陥ったことでマンションの買い控えの動きが生じ、不動産開発業界全体に資金繰り不安が波及し、世界最大規模に成長した中国の不動産市場は苦境に陥っている。

 上場不動産開発企業の5割弱が赤字に転落すると見込まれるなか、特に深刻なのは中小都市だ。マンション価格は下落を続け、不動産開発企業は次々と撤退している。「不動産市場のバブルがはじける過程にある」との悲鳴が聞こえてくる。中国の金融機関は冷え込んだ市場のてこ入れを図るために住宅ローン金利を引き下げているが、2月の住宅ローンを中心とする家計向け融資は3369億元と前月の8430億元から急減している。

藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省
1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)
1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)
1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)
2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)
2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)
2016年 経済産業研究所上席研究員
2021年 現職
独立行政法人 経済産業研究所

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