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木村誠「20年代、大学新時代」

女子大の反転攻勢が始まった…日本女子大と京都女子大、新学部開設の狙いは何か?

文=木村誠/大学教育ジャーナリスト
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日本女子大学(目白台キャンパス)(「Wikipedia」より)
日本女子大学(目白台キャンパス)(「Wikipedia」より)

 ジェンダーレスの原則によれば、女子大が存在していること自体がおかしい、そもそも不要ではないか、という過激な意見がSNSに散見される。逆差別というほどのことではないが、大学キャンパスの現状に対する認識不足は否めない印象だ。

 大学の教授(准も含む)陣は、映画監督と並んでセクハラやパワハラに無自覚な者が多いと耳にすることがある。そんな現状に鑑みれば、まだまだ女子大キャンパスでのジェンダーフリーの学びには、大きな社会的役割がある。

 多くの女子大では、そういう時代背景を意識してなのか、新しい学問分野に進出する動きが加速している。それは、学部や学科の新増設が近年相次いでいることからもうかがえる。それをまとめたのが下表である。

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全国で2校の国立女子大に工学系学部が新設

 今春、新設された奈良女子大学の工学部は、工学科の一般選抜で志願倍率が前期6.2倍、後期12倍と、まずまずの高倍率であった。ただし、募集人員はわずか27名(前期17名、後期10名)なので、「人気が集中」とは言い難い。後期の倍率が高いのは、個別試験の教科が前期3教科(数外理)に対して、後期は数学1教科だったので、理系女子にとっては受けやすかったためであろう。

 学力偏差値(河合塾)は52.5で、金沢大学、静岡大学、岡山大学などの有力地方国立大の工学系と同レベルである。

 ただ、工学部といっても、人間情報分野(生体医工学と情報エリア)や環境デザイン分野(人間環境・材料工学エリア)など、従来のモノづくり中心のハード系というイメージとは趣を異にする「文理融合型」といってよい。都市化と情報化が著しく進んだ近年の生活環境の中で、人々が安全で安心な生活を築くための生活工学が要求されるようになったことが背景にある。

 その点は、お茶の水女子大学の共創工学部も同様だ。2024年に開設予定の同学部は、人の暮らしに役立つ生活工学などを学ぶ人間環境工学科と、人文科学と情報学を融合させた文化情報工学科の1学部2学科となる計画である。人間環境工学科では、環境や建築、医工学や材料などの領域で、人間生活の視点で技術と情報を研究する。

 全国で2つしかない国立の女子大にほぼ同時期に新設される工学系学部が契機となって、両大学とも今後は企業連携も進み、経営面でも運営費交付金や学費以外の収入の伸びも期待できるだろう。消費者への対応も視野に入れた工学系学部の生活科学の学びには、企業側からの期待も大きいからだ。経営体としての国立大学法人の役割も視野に入れての計画であろう。

日本女子大は2年連続で新学部誕生か

 日本女子大学も新分野への積極的な挑戦が目立つ。具体的には、2023年に国際文化学部、2024年に建築デザイン学部の新設を予定している。

 国際文化学部は、1年次に全員が履修する必修科目として、日本国外でのスタディ・アブロード・プログラム(原則2週間の夏期休暇期間を利用した海外短期研修)と、「脱教室・脱キャンパス」をうたい文句にしたさまざまな実践的プログラムを用意している。グローバルな視野と行動力を持った女性を育成しようとしているのだ。

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