国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
前回、7月10日に投開票が行われる参議院議員選挙について、れいわ新選組代表の山本太郎候補の行動に対する疑問をお伝えしました。参院選には、元東京都知事の猪瀬直樹さんや作家の乙武洋匡さん、そしてタレントの水道橋博士さんなどが立候補を表明されています。国政選挙に限らず、投票率は下がる一方ですが、今回は有名な方も多いので、国民の関心も高まるような期待はしています。
この原稿を書いている5月26日現在、東京選挙区は改選数6に対して20人以上の候補予定者が手を挙げています。女性が多いので、そこに現役世代の男性が出馬すればいい戦いになると思いますが、山本候補もそう考えたのでしょうか。
ちなみに乙武候補は無所属ですが、自民党の茂木敏充幹事長が陰で支援しているといわれています。自民党はすでに2候補が出ているので、乙武候補はあえて無所属にして、当選したら自民入りの約束をしているとの噂もあります。
思えば、乙武候補は6年前の参院選で自民党から出馬が予定されていたのに、まさかの「5股不倫」が報道されて出馬を断念していますから、出馬には意欲的だったのでしょう。
維新の“美魔女”候補に疑惑続出
昨年の衆議院総選挙で大躍進を遂げた日本維新の会も、いろいろありそうですね。5月26日には、作家で元都知事の猪瀬氏が維新公認の比例代表候補として出馬を表明されました。75歳ですが、知名度はあります。
でも、「美魔女」として売り出している海老沢由紀候補は謎すぎますよ。国会議員を選ぶのに「美魔女」ってポイントになるのでしょうか。ちょっと都民を敵に回している気がします。外見をどうこう言うのは時代遅れです。維新の石井章参議院議員は、地元の候補者を「顔で選んでくれれば一番」と発言して「女性差別」との批判を受けていますよね。海老沢候補は居住実態や経歴詐称の疑惑も取り沙汰されていますが、大丈夫なんでしょうか。
3年前は今ほど支持率がなかった維新ですが、小池百合子都知事の批判などで何かとお騒がせの音喜多駿議員まで当選させていますね。今回も1議席は必ず取るべきなのに、なぜ海老沢さんなのでしょうか。有力な候補を出さなかったことが不思議だと言われています。とはいえ、維新はれいわのように候補者差し替えまではしていないですからね。
以前も書いていますが、本当に選挙も「一寸先は闇」なのです。「当選確実」といわれていたのに、急に支援団体からそっぽを向かれたり、想像もしていなかった強豪候補が現れてしまったりして落選することもあります。また、自分の知らないところで「闇取引」が行われて、選挙違反として取り締まりを受けることだってあるんです。
また、選挙活動の手法にも正解はありません。公職選挙法の範囲で、それぞれに合った最善の方法を見つけてがんばるしかないのです。その「がんばり方」も、どんどん変化しています。
昔は「ドブ板」といって、町の側溝(ドブ)の上の板を渡りながら一軒一軒おうちを回って支持を訴えたそうですが、今はどうですかね。神澤世代はもう古いのかもしれません。投票所に足を運んでいただき、名前を書いていただくには、心から打ち解けてもらうしかないのです。「人生の先輩」としてアドバイスしても、なかなか伝わりません。同じことでも、同世代が言うと受け入れられているのに……。
今は、選挙も大きく変わる過渡期なのでしょう。なので、神澤の任務は、まず若者の投票率を上げることです。「投票するってかっこいい!」と思ってもらうにはどうしたらいいのか、日々悩んでおります。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。