2022年度の大学入試共通テスト(旧センター試験)が15日、16日に行われたが、2日目に行われた数学、特に「数学IA」が“難しすぎる”として、Twitter上では受験生から次のように多くの悲鳴が続出。「問題制作」というキーワードがトレンド入りするなど、話題となっている。
<数学1A化け物すぎる>(原文ママ、以下同)
<隣の女の子共通テスト数学1A終わったら突然泣きながら帰り出した>
<数学IIB難しすぎて試験会場からため息しか聞こえないからトイレに逃げ込んだら、トイレの角で棒立ちしてる人居たんだけどここは日本ってゆー国であってますか?>
<難化どころじゃなくね?頭真っ白になったわ>
<数学難化もそうだし、共通テストほぼほぼえぐい>
<共通テスト自己採点結果(略)数学Ⅰ 4/100 数学Ⅱ 14/100>
<難易度:スーパーウルトラアルティメット難化 予想平均点:15点>
<数学1A、序盤の誘導(脳死問題)が例年よりも省かれてて難しすぎる…。これ、平均点40切ってもおかしくないような…>
実際に大手予備校はHP上に掲載している解答速報で、そろって次のように問題が難化したと評している。
【数学IA】
「難化 典型的な問題が少なく、目新しい問題が多かったため、ところどころの設問で戸惑った受験生が多かっただろう。また、解答の方針を立てにくく高度な思考力を要する設問もあり、難易度は高かったと思われる」(河合塾)
「導入部分から取り組みにくい問題が多く、昨年より難化」(駿台予備校)
「分量が多く、試験時間内に解ききることは厳しい。昨年よりも誘導が減少しており、難しく感じられたであろう」(代々木ゼミナール)
【数学IIB】
「やや難化 問題文が長く、ページ数も昨年より5ページ増加した。各大問の最後の設問を解くためには、それまでに行われてきた議論を振り返る必要がある。時間内にすべての問題を解くのは大変だろう」(河合塾)
「全体を通して幅広い知識の活用が求められ、平均点が高かった昨年と比べてやや難化」(駿台予備校)
「昨年よりやや難化。分量が時間に対して多め」(代々木ゼミナール)
本質的な数学的理解に加え国語力が問われた
予備校関係者はいう。
「旧センター試験では典型的なパターン問題が多く、過去問対策をしっかりやることが得点に結び付いたが、今年は過去にないようなタイプの問題が見られ、戸惑う受験生も多かった模様。また、長めの問題文を短い時間で読解してロジックを理解しないと解けない、思考力を求められる問題が多く、本質的な数学的理解に加え国語力が問われた。パターン問題の対策ばかりやってきたような受験生は、かなり苦戦しただろう。
大学入試共通テストの数学では論述問題は出ないが、“論述的”な問題が増えたという印象。そのため、理系の国公立大学2次試験や上位の私立大学入試の対策に時間を割いてきた受験生は有利かもしれない。また、数学が得意な受験生は全科目総合でみると点数が上がりやすくなり、国公立大や共通テスト利用の私大の入試では受かりやすくなる面は出てくるかもしれない。
落ち込んでいる受験生も多いと思われるが、全体的に平均点は大きく下がる可能性が高く、“できなかったのは他の受験生も同じ”というくらいの姿勢で、気持ちを切り替えてこれからの本番に臨んでほしい」
では、なぜ今回、数学が難化したのだろうか。
「昨年初めて行われた共通テストでは、特に数学は前年のセンター試験よりかなり易しくなり、前年より平均点が大幅に上昇。“センター試験からレベルが変わりすぎ”“本当に数学の実力を測れるのか”といった、いろいろな議論も出た。今年はその“振り戻し”が起きた面はあるかもしれない。もともと共通テストは、受験生の思考力を問う方向にシフトするという目的で導入されたので、その意味ではより“共通テストっぽくなった”といえる。
ただ、毎年のように平均点が上下してムラが出てしまうのは、難易度の一貫性という観点で好ましくないのは明らか。また、問題を難しくし過ぎて多くの受験生が解けない問題が増えれば、逆に受験生の実力を測れなくなってしまい、難しすぎてもいけない。実際に東大の理系学部の数学の入試問題は過去10~20年で易化傾向にある。問題制作の面では非常に難しいことではあるが、平均点の上下幅が毎年一定のレンジ内に収まるようにするのが理想的だろう」(同)
ちなみに昨年の平均点数は、数学IAは57.7点(前年比5.8点増)数学IIBは59.9点(前年比10.9点増)であったが、今年の予想平均点は16日夜にも大手予備校各社から発表される見込み。
(文=編集部)