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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

石原伸晃が落選した杉並区でまたも異変…区長選で現職が野党支援候補に敗北

文=神澤志万/国会議員秘書
杉並区役所(「Wikipedia」より)
杉並区役所(「Wikipedia」より)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 6月22日、第26回参議院議員選挙が公示され、選挙区と比例代表あわせて545人が立候補しました。全国45の選挙区には75人の定員に対して367人で、過去最高だった1995(平成7)年に次いで二番目の数だそうです。また、比例代表は178人で、やはり前回2019(令和元)年の155人よりも23人増加しています。

 また、今回は女性の立候補者の増加も目立ちましたね。181人で前回よりも77人増え、立候補者全体の33%となっています。これも過去最高だそうです。

 円安や物価高騰対策、ウクライナ情勢や米中関係を見据えた安全保障対策などを争点に、7月10日の投開票に向けて、通常より1日多い18日間の選挙戦がスタートしました。

 そもそも、参院選の正式な期日は閣議で直前に決まります。なので、それまでは報道も「7月10日投開票の見込み」「政府・与党が調整」などと、微妙な表現になります。衆議院のように突然解散して総選挙とかはなく、6年の任期で3年ごとに半数ずつの議員を改選することが決まっているのに、正式な期日はギリギリまで決まらないのです。不思議ですよね。

 たとえば、今回の場合は、国会閉会の6月15日に「6月22日公示・7月10日投開票」が決まりました。ちなみに、前回の19年(7月4日公示・21日投開票)は6月26日に、前々回の16年(6月22日公示・7月10日投開票)は6月2日に閣議決定されています。

 この参院選の期日については公職選挙法第32条で決められており、「議員の任期が終る日の前三十日以内に行う」こととされ、「通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う」と決められています。そして、公示は「少なくとも十七日前に」しなくてはなりません。

 通例では17日間で、教科書的には「衆議院が12日間・参議院は17日間」とされています。実は、神澤も2016年まで、参議院の選挙期間が「17日間以上」となっていることを知りませんでした。

 通例では、今回の公示日は23日となりますが、6月23日は沖縄の「慰霊の日」に重なるために前倒しされました。この日は、太平洋戦争末期の沖縄戦で、日本軍の組織的戦闘が終結したとされる日です。沖縄県民の4人に1人が亡くなったといわれる沖縄戦の犠牲者を悼み、平和を願う日です。今年は3年ぶりに首相も追悼式に出席されますし、「公示日にはなじまない」ということです。

 梅雨明けにはもう少しかかりますし、明ければ暑い夏が訪れますが、選挙にかかわるすべての方が悔いのない戦いをされることを祈ってやみません。6月23日からは期日前投票もできますので、ぜひ気軽に投票に行ってくださいね。

杉並区長選で起きた“異変”

 参院選に先立ち、6月20日に東京都杉並区区長選挙と区議補選が行われました。結果は以下の通りです。

石原伸晃が落選した杉並区でまたも異変…区長選で現職が野党支援候補に敗北の画像2

 たった「約190票」の差で、現職の田中良候補(無所属)が落選しました。区議会は自民党と公明党が多数を占めているので、まさかの結果でしたね。

 杉並区といえば、昨年の総選挙で自民党の石原伸晃元幹事長が落選に追い込まれた地域です。石原氏が代表を務める政党支部がコロナ関連の助成金を受け取っていた問題や、田中区長の「緊急事態宣言中のゴルフ出張疑惑」などが悪影響を与えたのでしょう。それだけ、杉並区民が新しい政治の形として、岸本候補(無所属/立憲、共産、れいわ、社民など推薦)のような女性リーダーを求めたのかもしれません。

 ところで、報道も得票数差を「約190票」としていましたし、得票数には小数点がついています。有権者は一人につき1票を入れるのに小数点……。これは「按分票(あんぶんひょう)」といいます。一つの選挙区に同じ名前の候補者が2人以上いる場合に、それぞれの候補者の得票数の割合に応じて配分(=按分)する決まりがあるのです。

 今回の杉並区長選でいえば、「田中」姓の候補者が2人いたので、投票用紙に「田中」しか書かれていないものを按分したのです。仮に按分がなければ、田中良候補の得票数が岸本候補を上回っていた可能性もありますよね。田中候補は区長を続けるつもりで、落選など考えてもいなかったようですから、この按分を相当悔しがっていたそうです。

 2021年10月の総選挙の比例代表では、立憲民主党と国民民主党がともに略称を「民主党」で届け出ていたため、大量の按分票が発生したことが話題になりました。「民主党」と書かれた票が全国で362万6320票もあり、立民には295万8201.722票、国民民主には66万8116.241票が振り分けられました。

 立民は比例票全体(約1149万票)の25%、国民民主も比例票全体(約259万票)の25%を按分票が占めたのです。国民民主は、そのおかげで当選者を出すことができたといわれています。今回の参院選でも、立民も国民民主も「民主党」を略称で届け出ています。今回も、国民民主が得をしそうですね。

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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