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長谷十三「言わぬが花、をあえて言う。」

橋下徹氏と河野太郎氏、ついに「月刊Hanada」に反撃開始

文=長谷十三
橋下徹氏と河野太郎氏、ついに「月刊Hanada」に反撃開始の画像1
河野太郎氏のInstagramより

 中国や韓国を叩くことが生き甲斐という、いわゆる「ネトウヨ」から絶大な人気を誇り、完売が続いているという「月刊Hanada」(飛鳥新社)が、同誌の部数拡大へ貢献した2人の政治家から反撃にあっている。

 まず、1人目は橋下徹氏。6月25日に自身のTwitterで、以下のように怒りをぶちまけるとともに、「宣戦布告」をしたのだ。

<月刊ハナダがタイトルを変えてきやがった。当初は橋下と上海電力の闇、コネクション、重大疑惑と断言していたのに、今回は研究だと。しかも手続きの脱法性や副市長会議のおかしさというショボイ言い掛かりの手続き論に変更。ほんま口だけ威勢のイイ腰抜け連中やな。最後まで俺の不正を追及して来い!>

<それにしてもハナダは前回完売。今回もこうやって売上に貢献するのは腹が立つ。前回大々的に俺の不正を断言したタイトルと記事について広告取り消しなど言論で解決することを求めたがハナダは拒否。それなら売上に応じた慰謝料額という新しいルール形成を目指して訴訟提起するわ。>

 橋下氏は同誌のweb版「月刊Hanadaプラス」の「上海電力、深まる謎 橋下徹の説明責任」という記事で、大阪市長時代に自分の立場を用いて中国企業「上海電力」を招致し、大阪湾岸のメガソーラー事業にねじ込んだのではないかという疑惑を指摘されたことをきっかけに、ネトウヨから「親中」だとボロカスに叩かれている。

 もちろん、「口喧嘩の達人」である橋下氏も黙っていない。SNSやネットテレビ番組で疑惑に真っ向から反論をしているのだが、すると今度は「Hanada」側は「研究」と銘をうって、引き続き上海電力と深い関係があると匂わす記事を掲載してきた。そこで橋下氏側もついに「法廷での決着」をちらつかせてきたというわけだ。

河野太郎氏「変なネトウヨが根も葉もないようなデマを散々流しました」

 このように「Hanada」が「親中」認定をして厳しく攻撃をしていた人から“反撃”にあうというのは、つい最近もあった。それが2人目の衆議院議員の河野太郎氏だ。

 5月28日、河野議員がライブ配信のなかで、このような発言をしたことが話題になった。

<まだ日本端子とか言ってるって、もうこれも、変なネトウヨが根も葉もないようなデマを散々流しましたんで、これ、参議院選挙が終わったら法的に訴えていってやろうかと思ってますんで、覚悟しろって感じではありますが、もうね、そういうふざけたのは許さない、徹底的にやっていこうかと思っています>

 ここに登場する「日本端子」とは、河野一族が経営する自動車部品会社。実はこの会社は自民党総裁選があった昨年秋、ネットやSNSで「中国企業に太陽光パネルの部品を提供する会社で、その関係で河野氏は中国共産党の手先になっている」というデマを流され、それを一部のジャーナリストが鵜呑みにして、ネットテレビや自身のSNSで拡散をしてしまうという騒動があった

 そのなかでも特に鼻息荒く「日本端子」疑惑を追及していたのが「Hanada」だった。「再エネ『恫喝』推進と河野一族」(21年9月25日)、「中国の罠にハマった河野太郎と日本端子」(21年10月29日)という2つの記事で、河野氏の「親中」疑惑を追及。その辛辣さは、「Hanada」編集部の公式Twitterには、河野氏の写真とともに以下のようなツイートが投稿された事実からも伺える。

<【「立憲共産党」に最も近い男!】メディアが全く報じませんが弊誌は追及します!いまなお「モリカケ、桜」に御執心の「立憲共産党」も、この問題にはなぜダンマリなのか? 中国の罠にハマった河野太郎と日本端子|山岡鉄秀>(21年11月28日)

 だが、これほど煽ったわりに「Hanada」もほどなくして「ダンマリ」をしてしまう。指摘されていた疑惑のほとんどが、根も葉もないデマだということが判明するのだ。

「日本端子は太陽光パネルの部品をつくっていません。ホームページにイメージ画像でソーラーパネルがあったので部品をつくっているとネトウヨの人たちが勘違いしたのでしょう。同社は老舗の自動車部品会社で製品の8割は自動車部品で、顧客の多くは日本の自動車メーカー。中国に進出しているのも、日本メーカーの中国進出にともなって進出しただけです」(自動車ジャーナリスト)

「『Hanada』や一部のジャーナリストが、日本端子の資本比率で自社比率が高くて中国共産党から特別扱いを受けているなどと大騒ぎをしていましたが、製造業ならば石を投げれば当たるほどよくある比率。中国でビジネスをしている日本企業のことをまったく知らないとしか思えない初歩的な話です」(中国人ジャーナリスト)

「Hanada」は安倍元首相を熱烈に支持

 だが、このように「デマ」だという事実が明らかになってからも、いまだに「Hanada」のアカウントなどには「ファン」から、「日本端子疑惑の徹底追及お願いします!」などのツイートが寄せられて、河野氏に対して、「親中」「中国共産党の犬」などという誹謗中傷をする人も散見される。

「実は『Hanada』は永田町では“自民党の広報誌”と揶揄されるほど、自民党議員とつながりが深い。そのため、河野氏も名指しで批判をするわけにはいかず、“ネトウヨ”という表現で濁しましたが、内心は橋下氏と“共闘”したい思いもあるのではないでしょうか。『Hanada』は“なぜマスコミは上海電力疑惑を扱わないのか”と騒いでいますが、我々からすれば、日本端子のデマと同じくらいマユツバな話ですからね」(全国紙政治記者)

 すでに多くの有識者から、「Hanada」が唱える「橋下氏の疑惑」が的外れではないかという指摘がなされている。例えば、元大阪市職員の「ジョリー」氏はnoteの「上海電力問題について」という考察のなかで、自身の行政現場での実務経験と公開情報をもとに「この入札案件が特別扱いされていたのか?という点においてはNO」「橋下市長はこの案件自体を知らなかった可能性が高い」と結論づけている。

 つまり、「上海電力疑惑」にも「日本端子デマ」と同じ匂いが漂ってきているというわけだ。もし橋下氏に負けてしまうと、「ネトウヨ」を煽る愛国ビジネスも軌道修正を余儀なくされる恐れがある。

「Hanada」は安倍晋三元首相を熱烈に支持している媒体として知られている。森友・加計学園問題を、「朝日新聞と野党がつくったフェイクニュース」と批判して、安倍支持者やネトウヨから絶大な支持を受けている。だが、上海電力疑惑や日本端子疑惑を見る限り、火のないところで疑惑を煽るやり方だと同誌が批判する朝日新聞と野党とまるっきり同じことをしている、と感じるのは気のせいだろうか。

(文=長谷十三)

長谷十三

長谷十三

フリーライター。政治・経済・企業・社会・メディアなど幅広い分野において取材・執筆活動を展開。

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