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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

中古マンション価格が5割増の高騰→買い手市場に転換の兆し?購入検討者は要注視

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
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中古マンション価格が5割増の高騰→買い手市場に転換の兆し?(「gettyimages」より)
「gettyimages」より

 首都圏の中古マンション市場は、完全な“売り手市場”になっています。まだまだ上がるとすれば早めに買っておいたほうがいいかもしれないが、ここまで上がればそろそろ天井を打って、下落に転じるのではないか、そうなるとしばらく待ったほうが得策――いろんな考え方がありますが、さて実際にどうなるのでしょうか。

ほとんど値引きなしで契約が成立している

 現在の中古マンション市場の過熱ぶりを示すデータがあります。不動産専門のデータバンクである東京カンテイがこのほど、『2021年中古マンションの売出価格と取引事例の価格乖離率&売却期間』を発表しました。価格乖離率は、中古マンションの売出価格と成約価格の格差を調査し、マンション仲介市場でどれくらいの値引きが行われているかを示しています。たとえば、5000万円で売り出された中古マンションが4800万円で成約したとすれば、(1-4800万円÷5000万円)×100で、価格乖離率は-4.0%です。この乖離率が小さいほど、値引き幅が小さく、売出価格に近い状態で売れる、売り手優位の“売り手市場”であり、乖離率が大きいとかなり値引きしないと売れにくい、買い手優位の“買い手市場“であるとみることができます。

 その価格乖離率、図表1にあるように2012年には-9%台と売出価格より成約価格は1割近く安くなっていました。売り手からすれば、かなり値引きしないと売れない、買い手からすれば、相当な値引きが期待できる買い手優位の買い手市場だったわけです。

中古マンション価格が5割増の高騰→買い手市場に転換の兆し?購入検討者は要注視の画像1

「2021年 中古マンションの売出事例と取引事例の価格乖離率」を発表 | リリース | 東京カンテイニュース | 東京カンテイ (kantei.ne.jp)

市場に出る前に売れる“瞬間蒸発”現象も

 それが、2013年から価格乖離率が縮小、2013年の下期には-6%台まで縮小し、長く-6%台が続いたあと、2020年上期にはいったん-7%台に下がったものの、下期には-6%台に戻し、2021年上期には-4.63%まで縮小、下期は-4.55%とさらに縮小しました。2012年の半分以下の水準であり、値引き幅が極めて小さくなっています。

 平均で-4.55%ということは、なかには築年数が長い、交通アクセスが悪いなどの悪条件が重なった、-10%以上の物件もあるでしょうから、逆に好条件が揃った物件であれば、ほとんど値引きなしで売れているといっていいでしょう。売り手優位の、完全な売り手市場です。

 仲介大手の営業担当者によると、「人気エリアではウエイティング客が多く、あの物件の売りが出れば言い値で買うというお客もいます」という状況で、なかには市場に出ることなく、登録客に売れてしまう“瞬間蒸発”という現象もみられるほどです。

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