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玉川徹氏の「電通発言」がテレ朝の偏向報道疑惑に発展 政治的意図を隠して世論誘導?

文=佐藤勇馬
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テレ朝・玉川徹氏の“国葬電通”騒動、メディアによる世論誘導的な発言のほうが問題視されそうの画像1
テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』公式サイト/出演者より

 テレビ朝日社員でコメンテーターの玉川徹氏の「電通発言」が波紋を広げている。事実に基づかない発言をしたという問題にとどまらず、メディアが政治的意図を巧みに隠した偏向報道で世論を誘導しているととられかねない言動があり、かつて同局を揺るがせた「椿事件」が蒸し返されるなど騒動が思わぬ方向へ拡大している。

 9月28日に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、玉川氏は安倍晋三元首相の国葬の進行や菅義偉前首相の弔辞について「当然これ、電通が入ってますからね」とコメント。大手広告代理店の電通による「演出」だと断言したが、翌日の放送で「事実ではありませんでした」と全面謝罪した。

 その後も玉川氏は通常通りに番組に出演していたが、ネット上で降板を求める声が殺到するなど大きな炎上騒動に。批判の高まりを受けて、テレビ朝日は今月4日付で玉川氏に出勤停止10日間の謹慎処分を下し、同日の放送で司会の羽鳥慎一アナが「玉川さんの発言によりまして、ご迷惑おかけしました各方面の方々、そして不快な思いをされました各方面の方々、さらに視聴者の方々、大変申し訳ありませんでした」と謝罪する事態となった。

 管理監督責任を問われた情報番組センター長と番組チーフプロデューサーもけん責処分になり、テレビ朝日は電通に謝罪。4日の定例会見では、同局の篠塚浩社長が事情説明と謝罪に追われ、局全体が大わらわとなった。玉川氏は19日に番組に復帰する予定だが、羽鳥アナは「なぜ今回このような発言になったのかの説明を改めてするべき、そして謝罪をするべきだと私は思っております」とし、盟友である玉川氏に厳しい態度を見せている。

 しかし、それでもネット上の猛批判はやまず、業界内でも厳しい視線が向けられている。単に電通に関する発言だけなら「事実誤認」といった釈明もできたが、玉川氏はそれ以上に深刻な問題発言をしていたのだ。

 先述の「電通発言」の中で、玉川氏は感動を呼んだ菅前首相の弔辞に政治的意図が隠されているとして「僕は演出側の人間として、テレビのディレクターをやってきましたから、そういうふうに作りますよ。政治的意図がにおわないように制作者としては考えます」とコメント。日ごろから、テレ朝をはじめとしたテレビメディアが政治的意図を隠して偏向した番組を放送し、世論を誘導していると思われかねない重大な問題発言だった。

 これにネット上では「椿事件をまったく反省していない」「椿事件の後も同じことやってきたのか」「自ら国民をあざむいていることを白状するとは」「国民にわからないように偏向報道やってますって意味?」などと猛烈な批判が湧き起こっている。

「椿事件」からテレ朝の体質は変わらず?

 今回の問題で引き合いに出されている「椿事件」とは、1993年に自民党の敗北で非自民の連立政権が誕生した際、テレビ朝日の椿貞良報道局長(当時)が民放連の会合で「選挙報道を通じて(自民党の)55年体制を突き崩さないといけない」「なんでもよいから、共産党を排除した反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしよう」といった方針で選挙報道をしていたと発言したことが明るみになったものだ。

 現役の報道機関幹部である椿氏が国会に証人喚問される異例の事態となり、一時は「政治的な偏向報道は放送法違反にあたる」として放送免許の剥奪まで検討された。

 玉川氏の発言が事実なら、テレビ朝日の体質がまったく変わっていなかったとみられても仕方ない部分がある。場合によっては、玉川氏が19日の番組復帰の際に自ら降板を切り出して幕引きを図る可能性もあるだろう。大手代理店の電通に「濡れ衣」を着せたというだけでも問題だが、偏向報道疑惑はテレ朝にとってそれ以上に大きな「爆弾」といえそうだ。

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

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