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スシロー、高校生の迷惑行為で「株価168億円下落」 億単位の損害賠償の可能性も

文=佐藤勇馬
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スシロー「すしに唾」騒動で株価暴落の画像1
株式会社あきんどスシロー

 大手回転ずしチェーン「スシロー」で高校生の男性客が指に唾液をつけて回転している寿司ネタに塗り付けたり、湯飲みや醤油ボトルの口をなめて戻したりする迷惑行為の動画が拡散され、親会社の株価が大暴落する事態が起きた。「時価総額168億円が消失」ともいわれ、スシロー側が高校生と保護者の謝罪を受け入れ拒否したことから、莫大な損害賠償金請求に発展する可能性が浮上している。

 スシローの運営会社「あきんどスシロー」を傘下に持つ「FOOD & LIFE COMPANIES」によると、迷惑行為が撮影されたのはスシロー岐阜正木店で、迷惑行為をした高校生と保護者から1月31日に直接の謝罪を受けたという。しかし、同社は同日午後に警察へ被害届を提出しており、事実上の「謝罪受け入れ拒否」で、担当者は「食の安全を脅かす行為であり、引き続き刑事・民事の両面から厳正に対処する」と強い言葉でコメントしている。

 この騒動がきっかけとなったのか、SNSでは全国から「スシローがガラガラ」「お昼時なのに全然客がいない」「見たことないくらい空いてる」といった報告が続出。レーンを回さずに注文品だけを出している店舗もあるようで、影響の大きさをうかがわせた。

 さらに大きな動きがあったのが「株価」だ。「FOOD & LIFE COMPANIES」の株価は騒動が大きく報道された1月31日に暴落し、一時は時価総額にして約168億円も下落した。2月1日になって若干戻したものの再び下がり、報道前の状況と株価が一変してしまった。

 昨年、スシローは景品表示法違反(おとり広告)による措置命令を受けたことや、ビール半額のポスターをキャンペーン開始前に張り出して定価販売していた騒動が問題視されて株価を大きく下げたことがあったが、今回はその比ではない桁外れの損害額となっている。

 迷惑行為をした当事者については、刑事で器物損壊罪と業務妨害罪に問われる可能性があり、民事では損害賠償を請求されるおそれがある。騒動後、同社は「店内のすべての湯飲みを洗浄」「しょうゆボトルを交換」といった対応をとっており、こうした「実害」への賠償金を請求される可能性は高いようだ。それだけでなく、先述したスシローの客が激減していることや、株価が大暴落したことについても責任を問われる場合があるという。

 1日に放送された日本テレビ系情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』では、国際弁護士の清原博氏が「(迷惑行為と)売り上げの減少や株価の下落の因果関係を証明するのは難しい」と語ったが、その一方で「因果関係が認められるなら請求できる」との見解を示した。また、他の弁護士からは「社会的影響が大きく、抑止効果の意味も含めて多額の損害賠償や慰謝料が請求されることもあり得る」と指摘されている。

 もし売り上げ減少や株価暴落との因果関係が認められたら、間違いなく億単位の賠償額となるだろう。通常なら清原弁護士が指摘したように因果関係の証明は難しいが、スシロー側は徹底して刑事・民事で責任を追及していく構えを取っており、今後の展開によっては莫大な賠償金を請求する事態になるかもしれない。

 今回の騒動を発端に他の回転ずし店やうどん店などでの迷惑行為が発覚しており、模倣行為が続発するおそれも危惧されている。まさに「食の安全」が脅かされている状況であり、スシローの対応は飲食業界全体に影響を及ぼす可能性が高く、業界や識者、消費者から「徹底して厳しい対応を」と望む声が多くあがっている。そうした社会的なムードも損害賠償請求への機運を高めそうな気配で、裁判で認められるかどうかはともかく、請求額は「数十億円から100億円規模」になるとの見方もある。

 高校生本人は「ただのイタズラ」程度に思っていたのかもしれないが、そのせいで保護者がとてつもない代償を支払うことになるかもしれない。

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

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