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スシロー、客がレーンの寿司に消毒用スプレー噴射…回転寿司業態が成立しなくなる恐れ

文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表
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ネット上に投稿された動画(一部、編集部で加工)

 回転寿司チェーン「スシロー」で、客がレーン上に流れる寿司に業務用のスプレー式手指消毒剤(エタノール配合)を噴射する動画をInstagram上に投稿し、拡散されている。スシローでは1月にも少年が醤油ボトルや湯呑をなめて元に戻す様子を収めた動画がネット上に投稿されるという事件が起きているが、他の客が手指消毒剤がかかった食品を食べると健康被害を被る恐れもあり、物議を醸している。

 今年に入り、回転寿司チェーンなど外食店舗での客による迷惑行為が相次いで発覚している。発端となったのは、前述のスシローでの醤油ボトルなめ回し事件だった。当該少年と親はスシローに謝罪したものの、一時的にスシローの株価下落し客離れなど業績に大きな影響がおよぶ懸念が出たため、運営会社は民事・刑事で法的措置をとる考えを表明している。

 また、「はま寿司」では男性客が他人の注文を横取りしたり、レーン上を移動する寿司にわさびを乗せたり、少年が卓上に置かれたガリの容器に直接箸を入れて食べる動画などが投稿され拡散。「吉野家」でも客が紅生姜を直接箸で取って食べる動画が投稿されるという被害が発生。「マクドナルド」では、店舗が入ったフードコートの店内と思われる場所で、男性が飛沫防止用のアクリル板をなめる様子を撮影した動画が拡散されるなどし、各チェーンの運営会社は法的措置を取る考えを示すなど厳しい姿勢を見せている。

 今回問題となっている動画は、映り込んでいる期間限定商品のポップなどから昨年11月に撮影したものとみられ、男性はレーン上を通過する複数の寿司にスプレー式手指消毒剤を何度も吹きかけている。レーンの向こう側の席で飲食中の客の顔も確認でき、消毒剤がその客にかかっている可能性もある。動画に表示されたインスタのアカウントなどから加害者は中学生ではないかという情報もあり、ネット上ではその所属学校や部活動などを特定する動きも広まっているが、真偽は定かではない。

「飲食店側としては、傷害罪、業務妨害罪にあたるという認識。お客さまが店内で違法行為をはたらくという事態までは基本的には想定していないし、ましてや消毒用スプレーをレーンを回っている商品にかけるという行為は完全に想定外だろう。もし仮にこうした行為が行われていたことを店側が認識していないなかで、この寿司を食べたお客さまに健康被害が出た場合、店側の衛生管理の不行き届きが原因だという風評が広まり営業的に大きな打撃を受ける可能性もある。なので、見つけた場合には警察に通報するなりの厳しい対応を取るべきだ。謝罪をしたから許されるという話ではなく、しっかりと法律に則って対処されるべきだ」(飲食店店主)

 また、外食チェーン関係者はいう。

「こうした迷惑行為が続出すると、レーンを回る商品をお客が選んで取って食べる回転寿司という業態が成立しなくなる。影響がスシローにとどまらず回転寿司業界全体におよぶことになり、業界全体が被る被害は計り知れないし、消費者にとっても回転寿司店に行くという楽しみ、利便性を奪われることになる」

 スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESの広報部は、「動画は確認し把握しております。それ以上につきましては現在、調査中です。詳細がわかりましたら民事・刑事ともに厳正に対応してまいります」としている。

 山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。

「たとえ、実際に誰が食べるかはわからないような状況(スプレーした寿司を誰が食べるかはわからない)であったとしても、『エタノール使用の手指消毒剤』は健康に被害を及ぼすことは明らかなので、実際に、誰かがこの寿司を食べて健康被害が発生すれば傷害罪(15年以下の懲役など)が成立する可能性が高いと考えられます。また、商品である寿司を悪質な行為によって食べられなくするという点において、お店を被害者とする威力業務妨害罪(3年以下の懲役など)が成立します」

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。
山岸純法律事務所

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