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Perplexityが優秀すぎてGoogle検索の牙城崩す?Bingのほうが優秀?

文=A4studio、協力=三上洋/ITジャーナリスト
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サイト「Perplexity」より

 対話型AI(人工知能)「Perplexity(パープレキシティ)」が効率的に有益な情報を収集できて優秀だとして注目されている。よく比較される知名度の高い対話型AI「ChatGPT(チャットジーピーティー)」と違い、Perplexityは情報の明確なソースも明示してくれ、ビジネス利用に適していると話題なのだ。実際、SNS上では「超優秀なリサーチャーを常に雇えている感覚で生産性が上がる」といった反応が多数寄せられており、ネット検索エンジン最大手であるGoogleの牙城を崩すのでは、といった予想まで挙がっている。

 そこで今回はITジャーナリストである三上洋氏に、PerplexityとはどういったAIで、何が優れているのか、そして本当にGoogle検索を脅かす存在になるのかなどを解説してもらった。

出典元を明示するという機能が好評の要因

「Perplexityは正式名称を『Perplexity AI』といい、対話型AIを活用したテキスト生成テクノロジーです。後述のChatGPTを開発しているOpen AI社にいた過去を持つアラビンド・スリニバス博士や、Metaが運営している人工知能研究所のMeta AIに所属していたデニス・ヤラッツ博士など、世界でも有数の技術者たちが共同で開発し、昨年12月に誕生しました。知りたいキーワードをサイトの入力欄に打ち込むと、簡潔な文章で、それがなんなのかといった概要をスパッと答えてくれます」(三上氏)

 対話型AIとはどういうものなのか。

「スマホやPCなどを介して人と自然に会話できるようにプログラムされたAIのことです。例えば対話型AIが搭載されたサイトにアクセスし、聞きたい質問を打ち込むと、AIがネット上の情報から学習した言語モデルを元にして、まるで人と会話しているかのように『それはこういうものだよ』と教えてくれるのです。特筆すべきは、あらかじめ用意された回答を記しているのではなく、答えを自分で生成して回答しているという点です」(同)

 Perplexityが今ここまで注目を集めている理由とは何か。

「回答への質問に出典や引用元を明示してくれるところが、競合のChatGPTなどとの差別化になっており、人気の要因となっています。ChatGPTは、回答を自動で生成する過程で得た出典元を明示ないため、その情報が正しいのか否かを判別できなかったのです。ですが、Perplexityはひとつの質問をすると、その回答として信頼度の高いと思われる情報を自動で選別し、それらを相互的に検討した結果の回答を、引用元付きで提示してくれます。

 普段我々がGoogleなどの検索エンジンを使って調べものをした場合、検索結果が一覧で表示されるわけですが、Perplexityはそれを精査したうえで適正と思われるものを提示してくれるといったイメージです。仮にその結果が間違っていても、引用元があるので自分で調べられますしね。ただ、それでも正確性にはまだ改善の余地がある印象なので、過度な信頼は禁物です。また、Perplexityは日本語にも対応しているのですが、日本語で打った時点で日本語のサイトから回答を構築してしまうと思われるので、英語サイトの情報も欲しい場合は英語で質問する必要がありそうです」(同)

現時点では情報の信憑性に難ありで鵜呑みは危険

 比較対象として挙がるChatGPTはどういったもので、Perplexityとはどう違うのかを改めて整理しておこう。

「ChatGPTはOpen AIが昨年11月に公開した対話型AIで、わずか3カ月でユーザーが1億人を突破するなど、今や対話型AIの代名詞ともなっています。特徴としては、Perplexityより文章が非常に流ちょうなのでフランクかつ自然な回答を得られるという印象で、まるで本物の人とチャットで会話をしているかのようなリアリティを追求しているところでしょう。そして『愛』や『魂』といった概念的な質問にも答えてくれるところも魅力です。

 ですが、先ほどお伝えしたように引用元の出典を明示してくれなかったり、現時点では2021年までのデータでしか学習していなかったりするため、情報の正確性や鮮度が不十分という欠点があります。そのため、雑談程度の会話のやりとりを楽しみたいのであればChatGPTは素晴らしいですが、調べものなどに使うのであればPerplexityのほうが上でしょう」(同)

 実際に使い勝手は良いといえるのか。

「知りたい情報の概要を一発で回答してくれるという点で便利ですし、PerplexityはGoogle Chromeの拡張機能として組み込めるので、迅速に運用できるのは利点です。ですが、個人的にはMicrosoftの検索サイト『Bing』に組み込まれたChatGPTのほうが使い勝手がいい印象ですね。Bingに組み込まれたChatGPTは、現在のChatGPT本体よりも一歩進んだ次期バージョンともいえるもので、引用元をしっかり明示してそこから文章を作成する仕組みになっています。Perplexityの利点である『引用元の提示』とChatGPTの利点である『会話の自然さ』を両立させています。またChatGPTとは異なり22年以降のデータも学習させているようなので、時事性の高い回答が得られます」(同)

 ではPerplexityはGoogle検索に取って代わる存在となりえるのだろうか。

「PerplexityがGoogle検索を脅かすような存在になるにはまだまだ改良が必要で、現時点では脅威とはいえないでしょうね。それにGoogleもこうした対話型AIの価値や脅威性はすでに認識しているようで、現在『Bard』という独自の対話型AIをテスト運用しており、これを現状のGoogle検索に導入することも検討しているそうです。GoogleはBardの認知を高めるという意味でも、今後Google検索をかけたときの検索結果の一覧にBardが回答した『調べたいキーワードの概要』を載せるといった施策を打つ可能性もあります。ですから将来的に考えても、PerplexityがGoogle検索の地位を奪う可能性は低いのではないでしょうか。

 今はまだ対話型AIの情報を鵜呑みにするのはリスクがありますので、正確性を重視する調べものをする際は、やはり人間自身が検索エンジンを使って情報を精査するほうがいいでしょう。特にChatGPTなどの人間のように流暢に回答してくれる対話型AIに依存しすぎると、間違った情報を信じてしまうという懸念点もあります。

 とはいえ、対話型AIは登場したばかりのテクノロジーで、これからどんどん進化していく技術。対話型AIが今後進化し続けて普及も進めば、これまでのネットで情報を得る際に主流だった『検索エンジンで調べる』という時代が、過去のものになる可能性があります。そのため、Googleは自らの基盤を維持するためにも、ChatGPT対抗の独自AIを必死に広めようとしているんです」(同)

 対話型AIの情報の精度はまだ発展途上のようだが、PerplexityだけでなくChatGPTやBardが進化していけば、我々の生活がより便利になっていくことだろう。

(文=A4studio、協力=三上洋/ITジャーナリスト)

三上洋/ITジャーナリスト

三上洋/ITジャーナリスト

1965年、東京都生まれ。東洋大学社会学部を卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、1995年から、IT全般を専門とするITジャーナリストとして活躍。文教大学情報学部でSNSやネットビジネスの講義を行う他、テレビ・ラジオでのセキュリティ解説多数。
ITジャーナリスト・三上洋のWebサイト

Twitter:@mikamiyoh

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