内閣府が15日発表した2023年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で0.4%減だった。マイナス成長は2四半期連続。23年通年で、国際比較に使われる名目GDPの実額がドイツに抜かれ、世界3位から4位に転落した。
岸田政権が目指す「デフレからの完全脱却」に向けて日本経済は正念場を迎えている。新藤義孝経済財政担当相は15日の記者会見で、日独逆転について「日本がさらなる構造改革や経済成長の新しいステージを一刻も早くつくらなければならない」と強調した。
23年10~12月期の実質GDPの内訳は、過半を占める個人消費が0.2%減、設備投資は0.1%減と、いずれも3期連続のマイナス。昨年の春闘での賃上げは30年ぶりの高水準となったが、物価高を背景に実質賃金が低迷したほか、コロナ禍明けの需要回復が一服し、内需を圧迫したもようだ。
23年通年の名目GDPは前年比5.7%増の591兆4820億円(4兆2106億米ドル)。名目成長率は3年連続のプラスで、1991年(6.5%増)以来32年ぶりの高水準となり、実額も最高を記録した。ただ、大幅な円安の進行でドル換算のGDPが目減りし、ドイツの名目GDP(4兆4561億米ドル)を下回った。
名目GDPは為替や物価の変動を反映し、生活実感に近い。23年は円相場が11月に1ドル=151円台を付け、年初から20円以上も下落した。一方、ドイツはロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格高騰で日本よりも激しいインフレに見舞われ、GDPを押し上げた。
日本の経済規模は、1968年に西ドイツ(現ドイツ)を国民総生産(GNP)で上回り、米国に次ぐ世界2位に浮上。だが、90年代初めのバブル崩壊を契機にデフレの悪循環に陥り、2010年にGDPで中国に抜かれ3位になっていた。
23年通年の日本の実質GDPは前年比1.9%増と、3年連続のプラス成長となった。GDPの米ドル換算は、日銀が公表している平均為替レートを用いて内閣府が計算した。
▽23年10~12月期のGDP速報値
◇実質成長率 ▲0.1 年率 ▲0.4
◇寄与度 内需 ▲0.3 外需 0.2
◇主要項目 増加率 寄与度
個人消費 ▲0.2 ▲0.1
住宅投資 ▲1.0 ▲0.0
設備投資 ▲0.1 ▲0.0
民間在庫 ― ▲0.0
公共投資 ▲0.7 ▲0.0
輸出 2.6 0.6
輸入 1.7 ▲0.4
◇名目成長率 0.3 年率 1.2
◇GDPデフレーター 3.8
(注)数字は%。民間在庫は寄与度のみ。GDPデフレーターは前年同期比でその他は前期比。▲はマイナス
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/02/15-11:57)