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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

ITバブルに遠く及ばない半導体の製造装置市場、その中でも成長している装置の共通点とは?

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 結果は図3~6の通りで、前工程と後工程の全体をまとめたものを表1に示す。

(1)00年のピークを超えている装置群

 00年のピークを超えたといえる装置群は、前工程では露光、洗浄・乾燥、ウエハ欠陥装置など4種類あるが、後工程ではダイサのみである。

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 ダイサ市場は、10年にピークを大きく超えている。13年にわずかにピークを下回ったが、今後はピークを超えた成長が期待できそうだ。

 ダイシングにおいては、より小さなチップの切断、より狭いスクライブラインでの切断が求められている。また、Cu/Low-kは通常のダイヤモンドブレードの切断が困難なため、レーザーダイシングが使われている。このような技術革新のために、装置台数とともに価格も向上し、ピークを超えたのだろう。

(2)00年のピークに近づいている装置群

 前工程では、コータ・デベロッパ、ドライエッチング装置、酸化・拡散炉、中電流イオン注入装置の4種類があるが、後工程ではダイボンダのみである。

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 ダイボンダ市場は、10年に一時的にピークを超えた。10年以降は、ピークから80%の範囲を推移すると思われる。

(3)00年のピークを超えられない装置群

 前工程も後工程も、これが最も多い。前工程では、スパッタリングやCVD装置などの成膜関係の装置がほとんどこのケースに属している。

 後工程では、ワイヤボンダ、TABボンダ、モールディング装置、ロジックテスタ、メモリテスタ、ミクストシグナルテスタ、プローバ、ハンドラがこのケースに属している。

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 07年にプローバが、10年にTABボンダが一時的にピークを超えたが、今後はピークの20~60%の範囲で推移しそうだ。ピーク超えは難しいだろう。

(4)どれにも属さない特異的な装置群

(1)~(3)のどれにも当てはまらない特異的な装置群は、前工程では常圧CVD装置とCuメッキ装置である。後工程では、マーキング装置とバーイン装置がこのケースに属する。

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 マーキング装置もバーイン装置も、00年以前にITバブル時を超えるピークがある。特に、バーイン装置の96年は突出している。DRAMなどメモリにおいては、特に海外メーカーは、バーインを行わなくなったことが背景にあると考えられる。

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微細化に関する装置は、市場が成長

 先に示したように、前工程も後工程もピークを超えられない装置群が最も多かった。一方、ピークを超えた装置群は、前工程が4種類あるのに対して、後工程はダイサのみだった。また、ピークに近づいている装置群も、前工程が4種類あるのに対して、後工程はダイボンダのみであった。

 このような差が、前工程と後工程の装置市場の成長性の差に直結している。また、前工程と後工程を通してみると、ピークを超えて成長が期待できる装置群は、微細化を推進している露光装置、微細化により微小パーティクルの除去が必要になった洗浄・乾燥装置、微細化により微小欠陥を検出しなければならなくなったウエハ欠陥装置、微細化によりCu/Low-kの切断が必要になり、微小チップをダイシングしなければならなくなったダイサである。

 これらの装置に共通しているのは、微細化だ。微細化の推進のために技術革新が必要な装置は、市場が成長するということである。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

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