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“マイナー”な大崎に異変?乗車人員数急増、新しい「街」出現で変貌 大規模開発仕上げへ

文=中原宏実/経済ジャーナリスト
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“マイナー”な大崎に異変?乗車人員数急増、新しい「街」出現で変貌 大規模開発仕上げへの画像1東京・東五反田地区周辺
 JR大崎駅前の東五反田地区の再開発が集大成の時期を迎えている。5月20日、三井不動産が業務受託している「パークシティ大崎」のメディア向け完成披露説明会が行われた。パークシティ大崎は東五反田地区の約29ヘクタールの再開発で、三井不動産が2012年4月から7棟のビルの新築工事を進めてきた。

 東五反田地区の再開発は、山手線沿線の副都心開発事業の先駆けとして約30年前に始まり、オフィスビルや大型マンションの建設が進められてきた。かつては山手線の中でも品川駅と五反田駅に挟まれ、存在感が大きいとはいえなかった大崎駅だが、三井不動産など数多くのデベロッパーが関与したことで、ここ30年ほどの再開発で大きく変貌をとげてきた。

 もともと京浜工業地帯の発祥地であり、大小さまざまな工場が立ち並んでいた品川区の工場エリアだった大崎駅周辺は、いまや高層のビルが林立し、ソニーなど大企業が集積するエリアとなっている。東日本旅客鉄道(JR東日本)のデータによると、大崎駅の2013年度の一日平均乗車人員数は約14万人で、00年度と比べた伸び率は山手線沿線で1位となった。

 東五反田地区開発の集大成となるパークシティ大崎の開発が進んだ背景には、「住・商・業・工」の4つの要素が絶妙なバランスで融合したことがある。今回完成した7棟は2棟の業務・商業棟、2棟の住宅棟、1棟の商業棟、それに作業所棟、地域交流施設棟である。副都心にふさわしい都市基盤の整備に加え、植栽などにも工夫がなされている。

 特に地元の品川区と密接に協力し、明治期から産業・技術が発達してきた工場街だった地域の伝統を生かしつつ、ベンチャーなど新たな業種の企業をさまざまな地域から呼び込むことができる産業支援交流施設を街区内に設けたことも大きな特徴だ。大規模ホールや地域交流スペースも設置して、地域のコミュニティ形成を意識している。

東京の市街地再開発のモデル

 さらに、環境面で大きく配慮している点も見逃せない。敷地内の約30%以上に緑地面積を確保したほか、東西南北に伸びる幹線道路には並木道を整備し、街区の角にはシンボルツリーとなるオリーブの大樹を植えた。さらに、街区内の7カ所に地域住民やオフィス街に勤める人たちが集えるような緑地空間も整備して、歩いて楽しいにぎわいのある街を目指している。実際に周辺を歩いてみると昔の工場が並んでいたようなイメージからは一変しており、現代風の建物が建ち並んでいることに驚かされる。

 地域住民や行政は新しく生まれた街を歓迎しているが、今後は大崎の街の新しいイメージをどうつくっていくかが問われることになる。

 完成披露説明会に出席した品川区の濱野健区長は「映画館など遊べる場所をなんとかして誘致したい」と話しており、若者などが集まってくるようなアミューズメント施設などの整備が必要だとの認識を示した。

 大崎プロジェクトは、東京に新たな副都心をつくる市街地再開発のモデルのひとつだけに、最終的な仕上げの時期を迎える中で、オフィス関係以外の積極的な集客なども課題になりそうだ。
(文=中原宏実/経済ジャーナリスト)

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