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当時の米国には、日本を汚職の横行する途上国とみなす風潮があり、米企業は現地の悪しき商慣行に迎合して違法行為を犯しがちとの認識が強く、この種の調査・捜査が盛んだった。そして現在も、途上国の商慣行を前近代的と決めつける風潮は、それほど変わっていないという。
さらに最近では、国際的なテロの横行に対抗する手段として、マネーロンダリングに対する監視を強化する傾向があり、今回のFIFA汚職の起訴につながる土壌が構築されていたのではないかともみられている。
金権体質と腐敗
とはいえ、サッカーは単一種目として世界最大の競技人口を誇る人気スポーツだ。FIFAはその総本山のような団体である。加盟国・地域数は209と、国際連盟のそれ(193カ国・地域)を上回っている。そして、オリンピックに勝るとも劣らない関心を集めるワールドカップの開催・運営をテコに巨額のマネーを呑み込んできた。
その一方で、以前からそうした世界的な人気にあぐらをかいた金権体質と腐敗の存在が、繰り返し指摘されてきたのも事実だ。今回起訴の対象になった開催地の選定や、会長選をめぐる不正の噂は枚挙にいとまがない。特に、中南米やアフリカ、アジアの一部では、そうした行為が横行していると指摘されていた。
多くの人に夢や希望を与える人気スポーツを私腹を肥やす道具にしたというFIFA幹部やスポーツ企業幹部の行為は、選手やサポーターに対する裏切りにほかならない。いつまでも一部の途上国で行われる悪しき慣習という議論で済まされる問題ではないのだ。事件の全容の徹底的な解明はもちろん、サッカー界の抜本的な体質改善が求められている。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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