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ドンキ、26期増収増益を支える驚異の経営 業界の常識を全面否定、レジャー施設化加速

文=福井晋/フリーライター
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ドンキ、26期増収増益を支える驚異の経営 業界の常識を全面否定、レジャー施設化加速の画像1ドンキホーテの店舗(「Wikipedia」より)
 総合スーパー、大手百貨店などの苦戦を横目に、「業界の異端児」といわれる大手ディスカウントストアチェーンのドンキホーテホールディングス(HD)が増収増益街道をまっしぐらに走っている。

 ドンキHDは5月7日、15年6月期通期連結決算の売上高が前期比9.1%増の6680億円、純利益が同3.9%増の223億円となり、共に過去最高になる見込みだと発表。26期連続の増収増益がほぼ確実となった。同日発表された15年6月期第3四半期連結決算も、売上高が前期比10.4%増の5099億円、営業利益が同16.4%増の337億円、純利益が同7.0%増の201億円となり、第3四半期の過去最高益も更新した。

 総合スーパー、大手百貨店など全国チェーンを展開する総合流通大手が軒並み苦戦する中、なぜディスカウントストアのドンキHDのみが増収増益を続けているのだろうか。その理由はチェーンストア理論に縛られない、ニーズ即応の柔軟な事業モデルにある。

物販店ではなく深夜のレジャー施設

 ドンキHDの事業モデルの特徴は「深夜営業、圧縮陳列、現場への権限委譲」の三位一体化にある。米国から輸入したチェーンストア理論に基づき成長してきた国内流通業界の常識を無視した事業モデルで、「業界の異端児」といわれるゆえんでもある。その特徴をざっと見ておこう。

 まず、深夜営業だが、同じ深夜営業でもコンビニエンスストアとドンキHDとでは様相が180度異なる。深夜マーケットには2つの消費行動があるといわれている。一つはコンビニに代表される「必要な物を、必要な時に、必要なだけ、すぐ買う『オンデマンド型消費行動』」。もう一つは、祭りの夜店などを探検気分で巡り歩くような「時間消費型消費行動」。

 コンビニはオンデマンド消費に対応できる商品を一店舗当たり約3000品目揃えているが、ドンキHDの場合はブランド品、家電製品、食品、家庭雑貨、化粧品、衣料品とよろず商品約4万品目が店内所狭しと陳列され、その大半が深夜に売れている。売り上げのピークは20~24時台の5時間。昼間営業は「深夜営業のついで」の様相を示している。

 2つ目の圧縮陳列。ドンキの店内は通路の両側に商品を山のように積み上げ、ジャングルを歩くような異様な陳列法で有名。あえて「見にくい、手に取りにくい、買いにくい」陳列をしている。これが消費者に時間消費の楽しさを満喫させる仕掛けになっている。チェーンストア理論に忠実に「見やすい、手に取りやすい、買いやすい」陳列にすると、消費者は「宝探し」を楽しめず、深夜にわざわざ来店しない。深夜に必要な物はコンビニで買える。

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