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「たかが、レストラン」では済まされまい
どうにも疑問を差し挟まざるを得ないランキングであるが、いくつか制度上の問題も見受けられる。ワールド・ベスト・レストランでは世界を27の地域に分け、それぞれの地域責任者が自身を含む36人の審査員を選び、投票が行われる。一人の人間が毎年、世界の主要都市の有力レストランを食べ歩き続けることは不可能。そこでおのずと経験値や情報が自国に偏重してしまう中で、地域別集計の寄せ集めをもって順位を決めてしまうのは、果たしてよいのだろうか。
また審査員の内訳は、シェフ、レストラン経営者、評論家等々となっており、炭酸飲料会社、シャンパンメーカー、食品メーカーなどがスポンサーに名を連ねている。要するに「利害関係者」が多数、このプロジェクトに関わっているわけで、公平性や透明性の担保を損ねているようにも思われる。
「たかが、レストランのランキングで、そう目くじらを立てることもあるまい」という声も聞こえてきそうだが、世界のレストラン業界の人々にとっては、「たかが、レストラン」では済まされまい。ミシュランやアメリカの有力ガイド『ザガット』、そしてワールド・ベスト・レストランが健全に競い合いブラッシュアップされていけば、評価の「精度」も上がっていき、業界や客にとって「ためになる」情報となってくるだろう。そのためには客がランキングに厳しい目を向けることも、必要不可欠である。
アメリカでは自国で生まれたザガットのほうが、ミシュランよりも圧倒的に人気と信頼度がある。われわれ日本人も、海外の評価だからといって無条件に受け入れることがあってはなるまい。
(文=横川潤/文教大学准教授、食評論家)
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