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企業側も「完全無料」!求人情報サイト登場の衝撃 人材業界の常識破壊

文=肥沼和之/ジャーナリスト
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企業側も「完全無料」!求人情報サイト登場の衝撃 人材業界の常識破壊の画像1ビズリーチの南壮一郎社長

 5月26日、インターネット転職サービスを提供するビズリーチが、クラウド型採用サービス「スタンバイ」(https://jp.stanby.com/)をリリースした。「スタンバイ」は、“求人情報に特化したグーグル”のような検索サービスだ。

 あらゆる業種・職種・雇用形態に対応し、インターネット上にある約300万件(リリース時点)の求人情報を検索できる。また、人材を探している企業は、パソコン・スマートフォン対応の求人情報を無料で作成・公開でき、応募者管理も行えるほか、成約しても手数料は発生しない。これまでの常識を覆す新サービスで、同社は採用革命を起こすことを目指している。

 同社はこれまで、年収500~2000万円のプロフェッショナル人材に特化した転職サイト「ビズリーチ」、同300~500万円のポテンシャル人材に特化した転職サイト「キャリアトレック」と、限られた領域で転職支援を行っていた。

 しかし、『2015年版中小企業白書』(中小企業庁)によると、中小企業の約4割が「採用コストの高さ」「採用方法がわからない」といった理由から、必要な人材を獲得できておらず、成長が阻害されている現状がある。

 ビズリーチは、この問題に着目した。人材を探しているすべての企業と、仕事を探しているすべての求職者を、ダイレクトに結びつけるプラットフォームとして「スタンバイ」を開発したのだ。1年後に求人掲載社数5万社、登録求人案件数20万件を目標に掲げている。

 求人情報の検索サービスといえば、世界最大級の「Indeed」がある。「Indeed」は、リスティング広告や有料求人広告といった有料プランを企業向けに用意しているが、「スタンバイ」は完全無料だ。さらに、求人情報のクローリングだけでなく、企業の求人情報の作成などの支援を通じて、日本中の求人を可視化することに注力していく。検索結果画面の上部や右に広告掲載を行うものの、当面は収益を追いかけず、5~10年かけて育てていくという。

「『スタンバイ』の事業は、社運を賭けた大きなチャレンジです」「日本経済全体の成長につながるサービスであり、非常に大きな意義と責任を感じている」と、同社の南壮一郎社長は語る。

 リリースから約1週間後の6月3日、企業からの反響などについて南社長に話を聞くと、「中小から大手まで、すでに数百の企業より問い合わせがありました」という。

 さらに、南社長は「採用コストの高さがボトルネックになっていた企業を中心に、たくさんお声がけをいただいており、いいスタートを切れたのではないかと思っています。どのように求人情報を作成・掲載すればいいのか、企業向けのマニュアルも作成している最中です」と頬を緩める。

 今後は、プロダクト開発の観点から常に改善を図り、「スタンバイ」をより良い採用サービスに育てていくという。そして、地道に企業の採用活動を支援することで、成功事例を積み重ねていき、より多くの企業や求職者に利用されるサービスを目指す姿勢だ。

IT活用で採用市場の可視化狙う

 ところで、気になるのは、求人メディアや人材紹介など、有料の人材ビジネスを行っている企業からの反発だが、南社長は「ない」と断言する。むしろ、多数の応援の声が寄せられているそうだ。

「人材業界のビジネスモデルは、10年以上変わっていません。ITを活用してイノベーションを起こすことで、採用市場を可視化する。そして、採用ビジネスがより本質的なものになることで、業界全体が活性化することをみなさんが期待しているのでしょう。応援に応えられるように、より良いサービスづくりに真摯に取り組んでいきます」(南社長)

 また「スタンバイ」は、全国約2700のレジャー業者と契約し、遊び・体験の予約サイト「asoview!」を運営するアソビューと業務提携を行い、レジャー業界の人材不足の解決にも取り組んでいる。今後は、ほかの業界の事業者とも積極的に提携を考えているという。

「同じ志を持った、あらゆる業界のプラットフォーマーとご一緒させていただきたいです。業界の活性化に『スタンバイ』を活用していただきたいので、ぜひお声がけください」と、南社長は広く呼びかけている。
(文=肥沼和之/ジャーナリスト)

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