(「三菱商事HP」より)
三菱商事は今期の純利益の見通しを過去最高の5000億円(前年同期比10%増)としていたが、一転して3300億円(同27%減)と、1700億円の下方修正。三井物産は同4000億円(同8%減)から3100億円(同29%減)へと900億円減額した。
ちなみに三菱商事の取扱高(メーカーの売上高に相当)は、従来予想より1兆円少ない20兆円に減らしている。
伊藤忠商事の純利益は2800億円(同7%減)、住友商事は2600億円(同4%増)、丸紅は2000億円(同16%増)と通期の見通しを据え置いた。住友商事と丸紅は2期連続で最高益を更新する。
先述2社は、2000年代後半からの資源価格の高騰に沸いた。12年3月期決算では三菱商事が4500億円、三井物産が4300億円と最高益(いずれも純利益)を叩き出すなど、わが世の春を謳歌した。
決算は快調そのものに見えたが、その中身は資源取引の1本足打法そのものだった。純利益に占める資源取引への依存度が異常に高かったのだ。資源取引の比率が5割を切ったのは丸紅(46%)と住友商事(34%)の2社だけ。伊藤忠商事が52%、三菱商事が65%、三井物産にいたっては94%。これでは総合商社ではなく資源商社である。しかし利益の94%が資源取引の寄与となると、最早、まともな決算とはいえない。
三菱商事と三井物産の2Mの利益が失速したのは、世界最大の鋼材消費国となった中国の経済が減速したことによる。右肩上がりだった粗鋼生産の伸びが鈍ったため、原料の鉄鉱石と高炉用の石炭の需要が減り、価格が急落した。
中国を震源とするアジア鋼材不況で、3月から9月までの半年間に鉄鉱石の価格は29%、高炉の製鉄原料となる原料炭の価格は32%下落した。
三井物産は鉄鉱石、三菱商事は原料炭の取引で独走してきた。2社とも鉄鋼原料が最大の収益源だった。三菱商事は価格の下落に加え、豪州の鉱山でのストライキが頻発したことが収益の悪化に直結した。
これに対して丸紅は銅や石油関連が業績を下支えし、伊藤忠商事も電力業界向けの一般炭が一定の利益を確保した。住友商事は北米で生産が急増する新たな天然ガス、シェールガスが追い風となり、ガスを地下深くから取り出すための鋼管の販売が伸びた。