KDDIは自社のプラットフォームを使い、今秋から念願のネット生保販売事業に参入、ライフネットの死亡保険や医療保険を販売する予定とみられている。
「auユーザがスマホで生保に加入し、スマホ料と生保料を一緒に払うサービスをKDDIは計画しているようだ」(生保業界筋)
KDDIは2008年に三菱東京UFJ銀行と共同出資でネット銀行のじぶん銀行を、10年にはあいおい損害保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)と共同出資でネット損保のモバイル損保(現au損保)をすでに設立しており、今回のライフネットとの資本・業務提携で「ネット金融3事業」が揃うことになる。
ライフネットがKDDIの懐に飛び込んだ理由は「消費者への信頼の補完」(ライフネット関係者)とされるが、その背景には何があるのか。
激しい価格競争
ライフネットは06年、75年ぶりに生まれた独立系国内生保。08年5月からネット生保の販売を開始して以降、外資系のアクサダイレクト生命保険と共にネット生保のパイオニアとして、当時は不可能といわれた同市場を開拓してきた。
ライフネットは、保有契約件数が約17万件に達した12年3月期まで昇竜の勢いを示し、14年3月期の保有契約件数は12年3月期比27.2%増の21万5403件。ちなみに12年3月期の保有契約件数は前期比43.4%増だった。
また、12年3月期の新規契約件数は前期比43.9%増の6万725件だったのに対し、15年3月期は2万7982件。新規契約件数を伸ばさなければ保有契約件数が伸びず、08年の営業開始以来、業績も赤字決算続きだ。その要因としてライフネット関係者は「パイがちっとも大きくならないのに、それを食べる人数だけが増えた」と、競争の激化を挙げる。
ネット生保のプレーヤーが増え、早くも価格競争が激化しているのは事実だ。約40兆円といわれる生保市場の中で、ネット生保のシェアはコンマ以下。規模的には「まだ2000~3000億円」(ネット生保関係者)とされる。そんな小さなパイに、草分けのライフネットとアクサダイレクトを含め、すでに8社が群がっている。小さな市場で過当競争が広がれば、価格競争が激化するのは当然といえる。