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西友よりも安い“無敵の”オーケーストア、鳴り物入りの「お友達宅配」が大コケの理由

文=奥田壮/清談社

 超高齢社会が進展する日本では、こうした買い物代行の需要は高い。また、「ウーバーイーツ」などのシェアリングサービスの隆盛を見れば、システムにも問題はなさそうだ。それにもかかわらず、なぜ「お友達宅配」は軌道に乗らなかったのだろうか。

「その要因は、依頼者と代行者それぞれにあると思います。まず依頼する側の高齢者がアプリを使いこなせていない。セルフレジにも尻込みしている世代には大きなハードルでしょう。一方、買い物を代行する側は『買い物弱者を救うのはビジネスではなくボランティアだ』と意識する人が多いのではないでしょうか。少額でもお金が発生することで『仕事』となってしまい、いわゆる『善意』がそがれてしまうのです」(同)

 ボランティアのつもりで買い物代行をしても、お金をもらえばビジネスと捉えられてしまう。日本の社会では、無報酬でも素直に「ありがとう」と言われれば十分にやりがいを感じる人が多いのだ。

 さらに今野氏は、仮に「お友達宅配」でお金を稼ごうとしたとしても課題が多いと指摘する。

「生鮮食品の買い物には、肉の脂身の割合、果物の熟れ具合など、値段以外に気を遣うポイントが数多くあるので、依頼者が満足のいく結果にならない可能性があり、結果的にクレームにつながってしまいます。また、このサービスは実態としては宅配業に近く、安価で重い水などを大量に注文されると重労働となり、金額ベースで計算すると割に合わなくなります」(同)

 たとえ少額でもお金をもらえば責任が生じてしまう。その報酬が買い物総額の5%で釣り合うかどうかは微妙なところなのだろう。

「お友達宅配」に注力するオーケーストアの狙い

 誤算ともいえる「お友達宅配」の不人気だが、それでもオーケーストアが力を入れ続けるのは、ある狙いがあるからだと今野氏は指摘する。

「スーパーの敵はすでにスーパーではなく、コンビニやドラッグストア、それにアマゾンなどのネット通販業者です。大手スーパーは対抗策としてこぞってネット通販に参入していますが、オーケーストアの規模では単独でネット展開はできない。そこで考え出したのが『お友達宅配』なのでしょう」(同)

 ネットスーパーはコストが高く利益は少ないといわれているが、それでも手をこまぬいていればアマゾンにシェアを奪われてしまう。「お友達宅配」は成功とはいいがたいが、そんな状況に新たなアイデアで戦いを挑む姿勢こそが、オーケーストアが躍進を続け、消費者から支持を集める本当の理由なのかもしれない。

(文=奥田壮/清談社)

●取材協力/今野保(いまの・たもつ)
ショッピングアドバイザー。全国のスーパーを年間で100店以上訪れる。テレビや雑誌などを通じて「いいものを楽しく、安く、賢く買うための知恵」を生活者に提案している。

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