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リコール連発で独り負けのホンダ、抱える深刻な問題 再生の切り札は英語公用語化?

文=塚本潔/ジャーナリスト
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世界6極体制の誤算

 ホンダに海外で役に立つ社員が不足しているもう一つの理由に、伊東孝紳前社長が積極的に進めた「世界6極体制」がある。日本、北米、アジア・大洋州、中国、欧州、南米の6地域で、開発、生産、販売の領域を自立させるといった壮大な計画だ。北米の現地生産・販売で成功を収めたホンダだからこそ実行に移せたものだが、トヨタ自動車とて二の足を踏む計画だ。危惧した通り、ホンダはこれで開発の兵站線が伸びきり、新型「フィット・ハイブリッド」で5回ものリコールを出し、伊東体制は失速。15年3月期連結決算で国内自動車メーカーが軒並み大幅増益となる中、ホンダは3期ぶりの減益に沈み「独り負け」といわれている。

 自動車産業は、開発、生産、販売の3分野で成り立つが、最も難しい開発部門の主要部分は国内でやるのが当たり前になっている。ホンダは新型フィットの立ち上げを6極で同時にしようとした。ハードルを高くするのがホンダ流だが、これには最初から無理があった。

 ホンダはトヨタや日産とは違い、グローバル市場ではフィットや「シビック」などの小型車と「アコード」などを基幹車種にし、国内も軽自動車と小型車を軸足にしている。この分野では他社メーカーとの競合も激しく、独BMWやベンツのような高級車ならともかく、小型車、中型車ではどうしても地元ニーズに合ったデザインや機能が求められる。ホンダが世界6極体制に踏み切ったのは、そのような理由からだ。しかし、図らずも露呈されたのは、語学ができて、海外でワンランク上の仕事ができるエンジニアや管理職の不足だった。

 現体制のホンダ役員には、90年代から北米に駐在し、その後はアジアや中国に赴任した人が多い。八郷隆弘新社長も99年に担当したUSオデッセイでの北米経験を引き合いに出し、「ホンダのチーム力」を説いている。海外に依存するホンダを再生させるには、北米での成功体験とは違ったかたちで、アジア、インド、中国の市場と取り組むしかない。

 とはいえ、社員は本業で忙しいのに、英語まで覚え込むのは大変だ。これもグローバルな時代に生きるビジネスパーソンの宿命か。ホンダには、語学ありきではなく、本業ありきの基本を忘れないでほしい。
(文=塚本潔/ジャーナリスト)

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