切り口は高級旅館だ。都心から2時間以内で行ける観光地を対象に、「ふふ」の名称で15年からシリーズ展開。客室20~50室の小規模で高品質なサービスを目玉に、宿泊費は8~10万円で富裕層をターゲットにしている。
現在は、箱根の「箱根・翠松園」(客室23室)、熱海の「海峯楼」(同26室)、「ATAMI海峯楼」(同4室)、富士山麓の「ふふ川口湖」(同32室)の4施設を稼働中。今後は「熱海ふふ」(同6室、19年秋開業予定)、「ふふ奈良」(同30室、20年春開業予定)、「ふふ日光」(同24室、20年春開業予定)、「ふふ京都」(同45室、20年秋開業予定)、「ふふ強羅」(同43室、21年秋開業予定)を計画している。三浦半島や千葉の房総半島、伊豆でもプランがあり、総投資額は300~400億円を見込んでいる。
ヒューリックの19年12月期の連結売上高は、販売用不動産の売買動向によって大きく変動するため未定(18年12月期の実績は2857億円)。営業利益は前期比12%増の850億円、純利益は10%増の545億円を見込む。年間配当は3円増配の28.5円を予定している
不動産業界は三井不動産、三菱地所、住友不動産の旧財閥系と、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングスが総合不動産大手5社を形成している。
ヒューリックは銀行店舗の管理会社という生い立ちから都心のオフィスビル専業だったがホテル事業に進出、ビジネスホテルとリゾートホテルの日本ビューホテルを買収してホテルに力を入れ、大手5社を追い上げる体制を整える。
みずほフィナンシャルグループは三井、三菱、住友に比べてグループの再編が遅れている。近い将来、みずほグループの金融各社の不動産事業を集約して、みずほ不動産ホールディングス(仮称)ができれば、ヒューリックがその中核を担うことになるとみられる。
(文=編集部)