同世代のロールモデルとして
現在27歳のYUSUKE氏だが、雑誌の創刊を目指した22歳からの5年間は、非常に濃い時間を過ごしてきた。年齢を重ねるごとに、ひとつの出来事に対するとらえ方が変化していることもあるという。
「まだ27年しか生きていませんが、生きることは大変なことのほうが多いと感じています。どんな人でも壁にぶつかることはあると思いますが、同じ心境でもがいている方々に、僕は作品を通して希望を与えることに生きる意味を感じています」(同)
「BOURGEOIS」のターゲット層を10~20代としていることには、理由がある。YUSUKE氏は自身が思い悩み夢を実現させた経験を、若者たちに伝えたいと考えているのだ。
「若い世代は、夢や目標に向けて楽しみと不安の2つの気持ちがあると思いますが、小学生の時に『サッカー選手になりたい』などの夢を持っていたのと同じ気持ちで、夢に向かって挑戦してほしいです。誰でも絶対に失敗します。失敗して人は学び成長して強くなります。だから、転んでも何度でも立ち上がって前に進んでほしい。夢は大きく、常に現状に満足せず、何より楽しむことを忘れずに」(同)
海外拠点にする理由
「BOURGEOIS」は、東京とロンドンのカルチャーマガジンであり、制作のため現在、YUSUKE氏はロンドンを拠点として、さまざまな国を訪れている。
「日本とイギリスで比べると、さまざまな点で共通と相違があります。そして、なぜ海外を拠点にしているかというと、ロンドンにいる時は、僕は自分自身を好きになれるからです」(同)
その一方で、海外で生活するからこそ気づいたこともあるという。
「日本は自分の生まれた国ということもありますが、他国のカルチャーの中で生活することで、より一層リスペクトする気持ちが強くなりました。政治的なことについてはいろいろな意見があると思いますが、本当にとてもいい国をつくってくれている人々に感謝しています」(同)
こういった謙虚さも、YUSUKE氏が人を引きつける魅力なのかもしれない。
「BOURGEOIS 6th issue」は2019年冬に、3タイプの表紙で発売予定で、詳細な情報が解禁されるのは今秋だという。日本とロンドンとの架け橋となる「BOURGEOIS」が、さらなる可能性を生むことを期待したい。
(文=道明寺美清/ライター)