02年、小泉純一郎首相と竹中平蔵金融相が推進した金融改革のエンジン役を果たした「金融タスクフォース」のメンバーとなり、その名が知られるようになった。マネックスグループ、りそなホールディングス、イー・モバイル、ヤマハ発動機、日本取引所グループの社外取締役を歴任。東京海上ホールディングスの監査役、三菱UFJFGのアドバイザリーボード委員も務める。
三井住友フィナンシャルグループの女性社外取締役は、東レ・ダウコーニングの会長兼CEO(最高経営責任者)の桜井恵理子氏。東北大学文理学部心理学科卒。在学中に文部省の奨学生として、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校心理学部大学院に留学した。米ダウコーニングに入社後、日本支社に転じ、昇進を重ね09年には合弁会社、東レ・ダウコーニングの会長兼CEOに就いた。日本・韓国ソリューションのプレジデントとして、両国事業の統治、人材育成、長期成長戦略に携わる。ソニーの社外取締役を兼務している。
数合わせに終わる懸念も
女性社外取締役には、同時に何社も兼任している人もいる。首都大学東京大学院教授(経営学)の松田千恵子氏は、日立化成やフォスター電機、イオンフィナンシャルサービスの3社で、監査役を含めた社外取締役を務める。
松田氏は東京外国語大学外国語科卒。仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修了。旧日本長期信用銀行(現・新生銀行)や格付会社ムーディーズ・ジャパンなどでキャリアを積んだ後、大学教授に転身した。
一橋大学大学院商学研究科教授の江川雅子氏は東京海上ホールディングス、旭硝子、三井不動産の社外取締役を務める。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒。ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。86年から01年までニューヨーク及び東京で外資系投資銀行に勤務、M&Aの業務に携った。01年から09年までハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター長を務めた。
元メリルリンチ日本証券社長の小林いずみ氏は、三井物産、ANAホールディングス、サントリーホールディングスの社外取締役だ。成蹊大学文学部文化学部卒。三菱化成工業(現・三菱化学)を経て、メリルリンチの日本法人に転職。同社で昇進を重ね、01年に社長に就いた。08年には世界銀行グループの多数国間投資保証機関の長官に就任した。
コーポレートガバナンス・コードとダイバーシティが経済・産業界の流行語になっている。大手企業はバスに乗り遅れるなと、女性社外取締役の起用に走り出した。特に外国企業でキャリアを積んだ女性は人気だ。しかし、本業を持ちながら複数企業の社外取締役を兼務するケースもあり、女性社外取締役が単なる数合わせに終わる懸念も指摘されている。
(文=編集部)