リプトン、卓越したブランド戦略 楽天、ソフトバンク…「神話化」される創業者たち
当然のようですが、消費者に創業者を知ってもらうことで、そのブランドに対する理解や知識が深まり、結果としてブランドにより関心をもってもらうことができます。また、ブランドへの好感度や精神的なロイヤルティを高めることができるでしょう。さらに、ブランド連想(=ブランドイメージ)もより豊富なものになります。
創業者を消費者が知ることによって、ブランドについて消費者がそのブランドの属性評価をより高めることも想定できます。属性とは、そのブランドを評価する場合の次元ということです。たとえば、リプトン紅茶の属性である味や香りを評価するとき、「リプトンの紅茶はリプトン卿が手がけた紅茶なので薫り高い」と評価するような場合です。
ブランド化された経営者たち
リプトンは現在、リプトン卿という創業者をブランド化しているように考えられますが、このようなやり方を「パーソナルブランド」戦略として捉えてみたいと思います。意図した結果か意図せざる結果であったかを別として、創業者の名前がブランド化されている企業の例は数多くあります。
旧松下電器産業(現パナソニック)の松下幸之助氏、ソニーの盛田昭夫氏、ホンダの本田宗一郎氏などは多くの人に知られています。ソフトバンクの孫正義氏、楽天の三木谷浩史氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭氏なども、パーソナルブランド化された創業者であり経営者といえます。
ITの分野での成功者である、アップルの故スティーブ・ジョブズ、マイクロソフトのビル・ゲイツたちに尊敬の念を抱く人は少なくありません。スターバックスのハワード・シュルツは同社の実質的な創業者として知られていますし、また、アマゾンのジェフ・ベゾスもその名前を聞く機会が多い経営者のひとりです。
歴史的人物として、シャネルの創業者、ココ・シャネルや、GEの創業に関わったトーマス・エジソンなどは絵本や伝記を通じて、多くの人々に知られています。
ごく最近の例では、大同生命が創業者の一人である女性実業家、広岡浅子をクローズアップして、テレビ広告やフェイスブック、自社ウェブサイトなどで訴求している例が見られます。
こうした企業の偉大な創業者が、それぞれの企業や商品が評価されるときポジティブな役割を果たしていることは疑いないでしょう。