リプトン、卓越したブランド戦略 楽天、ソフトバンク…「神話化」される創業者たち
創業者ブランド化
「ヒト」をブランド化するのは創業者だけではありません。現在のトップマネジメントが「ブランド化」されているケースもいくつか見られます。たとえば、ジャパネットたかたの高田明元社長は、テレビ通販を通じてよく知られた経営者です。星野リゾートのリーダー、星野佳路氏も近年知られるようになった革新的経営者です。
経営者をブランド化するパーソナルブランド戦略として、創業者ブランド戦略を取り上げて考察してみましょう。
創業者をブランド化することには、いくつかのメリットがあります。もしもその人物が過去の歴史的人物であったならば、その人の経歴や業績はある程度確定したものであるでしょうし、リスクが比較的少ない戦略なのです。
問題は、創業者をどのような人物としてポジショニングするかです。つまり、創業者をどのような人物として顧客に知覚してもらうか、という問題なのです。さまざまな苦労のあげく、成功を成し遂げた人物であるのか、革新的なアイデアをもってガレージから会社を立ち上げ、既存ビジネスにチャレンジした人物なのか――。
創業者について、興味深い史実がたくさんあり、ドラマチックなエピソードが多くあれば、それらをストーリーとして語ることは比較的容易です。しかし多くの創業者が必ずそのようなエピソードをもっているとは限りません。そして、興味深いエピソードがあったとしても、そのエピソードがすべてブランド化に向いているわけではありません。
創業者ブランドタイプ
典型的な創業者ブランドのタイプのひとつが、「反体制的経営者」ブランドです。故スティーブ・ジョブズはIBMのコンピューター支配下にある世界に、アップルというパーソナルコンピューターを導入して新しい世界を創ったという神話を自らテレビ広告でつくりだしました。ヴァージングループの創設者であるリチャード・ブランソンは、音楽産業や航空産業で成功した英国人ですが、ブランソン自身がさまざまな冒険にチャレンジする型破りな経営者として自らを位置づけています。
もうひとつの創業者ブランドのタイプが「たたき上げ起業家」です。よくアメリカのシリコンバレーで語られるのは「ガレージ」からの創業というエピソードです。