超高齢化社会が進行するに従い、患者数が増加して経営が潤っている病院ばかりと思うかもしれないが、1月に帝国データバンクが発表した「医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査」によると2000年から14年までの累計倒産数は病院が 113 件、診療所が 226 件。07年をピークに減少傾向ではあるものの、年間平均で33件も倒産していることになるのだ。
ちなみに、07年が倒産のピークになった理由としては、06年に診療報酬が3.16%マイナス改定されたことが原因といわれており、裏を返せば約3%の収入減で倒産してしまう医療機関がそれだけあるという証左であろう。
そのように公立・私立を問わず、経営が逼迫している医療機関が多いという土壌があるため、多くの勤務医が過酷な条件で働かざるを得なくなっているのだ。実際に医師の過労自殺は問題視されており、07年には兵庫県養父市にある公立八鹿病院の整形外科医として勤務する男性医師が、過酷な長時間労働と上司からのパワハラにより官舎で自殺した事件が起きた。そして今年3月、広島高等裁判所松江支部は同病院に対し、遺族へ約1億円を支払うよう命じている。この医師は、赴任した月の時間外労働が205時間、その翌月が185時間となっており、これらは厚生労働省が労災認定の基準に用いる「過労死ライン」である月80時間の2倍以上にあたる。
「儲かっている」「金持ち」という印象のある医師ではあるが、その常識はもはや崩壊しているのかもしれない。
年収800万円で酷使される勤務医
医師免許を持つジャーナリストであり、『危ないお医者さん』『「死に方」格差社会』(ともにSBクリエイティブ)など、話題の著作をもつ富家孝氏に、
・医師の過酷な勤務状況
・勤務医、開業医などの収入
・医師のメリット
などについて話を聞いた。