その第1弾が9月6日に発表した島根銀行との資本・業務提携。島根銀行の第三者割当増資分25億円をSBIHDが引き受け、グループ全体の出資比率を34%とした。第2弾が、福島銀行への11億円出資だった。両行とも地銀の下位行だ。島根銀行の貸出金残高は2899億円、福島銀のそれは5059億円にすぎず(19年3月期末)、信用金庫以下である。
上場する78の地銀・グループの19年3月期の連結純利益は計860億円で前の期より11%減り、3期連続で最終減益だった。単独で生き残りが難しいとされる地銀は少なくない。SBIHDによる「第4のメガバンク構想」は、今後の地銀再編に多大な影響を及ぼす。北尾CEOは「地銀10行ぐらいから(打診が来ている)」という。一方で、「苦しくなった地銀の駆け込み寺だ」(有力地銀の頭取)といった冷ややかな見方もある。
金融当局が地銀の再編を働きかけるのには限界がある。金融庁はSBIHDの積極的な関与に期待する。具体的には、公的資金の間接的な注入窓口をつくるということだ。SBIHDが設置する持ち株会社が公的資金を申請すれば、地銀は持ち株会社から資本を入れることができる。ワンクッション置くことで地銀側のアレルギーは減る。金融庁は、SBIHDと地銀が設立する持ち株会社を通じて公的資金を注入する案を練っているとされる。
スルガ銀行はどこへ行く
金融界が注視しているのが、経営再建途上にあるスルガ銀行だ。SBIHDはかねてからスルガ銀行への支援に意欲を示してきた。最大のネックとなっていた創業家がファミリー企業経由で保有していた株式(13%強)を、家電量販大手のノジマが取得した。ノジマはすでに5%弱の同行株を持つ大株主で、保有比率は18%強になった。
筆頭株主の創業家との関係が解消され、今後、シェアハウス問題の解決の道筋が見えてくれば、SBIHDのスルガ銀への出資が現実味を増す。
(文=編集部)