ポジティブ視点の考察で企業活動を応援、企業とともに歩む「共創型メディア」/Business Journal
鈴木貴博「経済を読む“目玉”」
日産の業績悪化、ゴーン放逐は正しかったのか?優秀な経営者を放逐せざるを得ない日本
アメリカの大企業では事実上導入
なんとなく読者のみなさんもお気づきかもしれませんが、アメリカの大企業の業績連動型の報酬体系の下では、現在進行形でこのようなことが行われていて、CEOが100億円規模の巨額報酬を得ると同時に、株主も株価の大幅上昇で満足を得るというウィンウィンな状況が生まれています。
ゴーン氏にとって不幸だったことは、親会社であるルノーの大株主がフランス政府で、フランスそのものが西側社会のなかでも社会主義的な色合いが強い国だったことでしょう。そのため、あれだけ世界的に有名な経営者であったにもかかわらず、ルノーでのゴーン氏の報酬は、日本の大企業経営者の報酬と大差がありませんでした。
そして日本経済にとって不幸だったことは、法律を遵守しようとしたら、優秀な経営者を放逐せざるを得ないということです。少なくとも現行の法律がある以上、日産の株主も内部関係者も、ゴーン氏を告発せざるを得ない。
さて、この状態を唯一変えることができるのは法律をつくる国会だけです。政治家や官僚がいろいろとやらかしていることがいつも国会で問題になりますが、わが国の官僚はしっかりしているので、大概の不祥事は法律上では合法になっています。だとしたら政治分野だけでなく経済分野に関しても「稼いでいる会社の利益の一部を流用するのは合法である」という法律もつくってみたらどうかと思うのですが、官僚のみなさん、経済成長のためにこういったことを検討してみてはどうでしょうか。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
RANKING
UPDATE:23:30